豊橋商工信組が「地域金融賞」

　豊橋商工信用組合は、一般社団法人「環境金融研究機構」（ＲＩＥＦ）が主催する「第８回サステナブルファイナンス大賞」の「地域金融賞」を受賞した。18日に授賞式があった。同信組が２０２１年11月に取り扱いを始めた「再生支援－古民家ローン」の取り組みが評価された。
　新城市の「戸田工務店」（戸田桂一郎社長）と連携。同信組の営業エリアに残る古民家を文化的な価値を持つ建築物として維持保存をしつつ、その購入や生活に使えるようリノベーションする資金を支援する。
　通常、金融機関が担保を評価する場合、文化的な価値などは対象外。だが、このローンは戸田工務店と「愛知県古民家再生協会」の鑑定を元に価値評価する。古民家購入やリフォームの際にローンが組みづらい点や、移住により勤続年数が不足するなど借入時の課題をクリアしたのがポイントとなっている。ほかに、空き家となっている古民家の利活用などの相談にも積極的に応じる体制を整備し、東三河の古民家再生と古民家を活用した地域活性化に大きく寄与している点が評価された。
　ＲＩＥＦは「文化的価値のある古民家への他県などからの移住者を前提に、地元の工務店と連携し、地域おこしと移住に焦点を合わせた新しいＥＳＧ（環境、社会、企業統治を重視した投資）市場の需要開発を目指している」としている。
　豊橋商工信組の中村勝彦理事長は「大手機関の受賞が多い中、感無量です。２年前から『ご縁は、財産。』のコンセプトを前面に出し、地域貢献を重視する経営方針に転換致しました。このローンも、地元工務店との連携、ノウハウ共有により克服し、開発に至ったものです。これからも『地域貢献・文化継承に貢献する金融機関』を目指します」とコメント。
　戸田社長は「時代の変化をいち早く読み取り、新しい仕組みをつくりたいと、声をかけてくれた豊橋商工信用組合のお力でこのローンを実現できました。古民家移住を実現したいが資金が不安、という人の強い味方になり、私たちの故郷が古民家を通じて活気づくことを期待しています」とコメントした。
　サステナブルファイナンス大賞は、環境問題を金融的手法で解決する「環境金融」の普及と啓蒙活動を展開するＲＩＥＦが２０１５年に始めた表彰制度。今回は12件、13の会社と団体が受賞した。
【山田一晶】