設楽で杉浦さん 茶の実搾り化粧用油を生産

　設楽町の地域おこし協力隊として活動してきた知多市出身の杉浦篤さん（33）が１日、同町田峯で化粧用油の生産を行う「山の搾油所」を開設する。第一弾は地元にある茶の実を使ったスキンケアオイル「設楽茶油」の生産と販売に取り組む。大学時代から設楽での暮らしまでの歩みを凝縮させた事業で「茶の実だけでなく他のゆずやほかの種子にも挑戦し、年間通して生産できる体制を整えたい」と意気込む。
　杉浦さんは２０１５年４月から先月30日まで地域おこし協力隊員として活動してきた。5年前に化学物質過敏症と診断を受け、空気の澄んだ場所での暮らすことを決断し、同町へ。田峯地区で暮らして自然観察のガイドなどをしてきた。
　田峯を訪れた際、茶畑に落ちていた茶の実に注目し、「ツバキ科の茶ならばツバキオイルと同じくスキンケアオイルができるのでは」と着想した。
　鳥取大学農学部で植物の分子生物学を専攻し、同大学院修士課程を経て基礎生物学研究所で働いた経験から、植物の知識と研究所時代の人脈を通じて実を搾って油を作ることにした。
　成分結果はオレイン酸が多く保湿性が高いことや、ビタミンＥがあることから抗酸化作用があり、化粧油に適していることが分かった。サンプル調査でも「肌になじむ」と評判も良かった。
　田峯城駐車場一角にある物置小屋を作業所として借りた。町の補助金などを活用して搾油機を設置した。
　販売する「設楽茶油」は10㌘で３０００円を予定。地元の田峯特産物直売所と町内の道の駅で販売する。
　「乾燥した実の重量の10分の１程度とツバキより少なく効率は悪いかもしれない。しかし成分は申し分ないです」と杉浦さん。「茶の実だけでなく地元で活用できるゆずやエゴマ、ツバキにもチャレンジしていきたい」と話している。
（安藤聡）