豊橋市二川宿本陣資料館 香川さんの城郭原画展

　豊橋市二川宿本陣資料館で「甦る名城　香川元太郎城郭原画展」が始まった。日本を代表する絵本作家のひとりで、迷路やかくし絵の絵本を手掛ける一方、城をはじめとする「歴史考証イラスト」でも知られる日本画家、香川元太郎さんの城郭原画80点を展示紹介している。11月13日まで。
　香川さんは１９５９年生まれ。「時の迷路」「文明の迷路」「昆虫の迷路」など迷路やかくし絵の人気シリーズ絵本の作者で、日本の城や歴史の舞台となった場所の鳥瞰（ちょうかん）図や断面図を専門家とともに考証して描き上げた「歴史考証イラスト」を多く手掛ける。
　豊橋の「吉田城」など近年発表された作品を含む、北海道から沖縄までの城郭原画を中心に展示。今展のために描き上げた「船形山城」も初公開した。資料館から近く、古地図や浮世絵、縄張図などの資料がそろっていたことから香川さんに依頼したものだ。
　作品は北から順に展示。「江戸城」「二俣城」「名古屋城」「長篠城」「伊賀忍者屋敷」「安土城」「二条城」などアクリルで精密に描いた名城のイラストが楽しめる。子どもたちにも親しんでもらおうと、かくし絵の入った迷路の作品も３点展示している。
　「城に特化した展覧会。いろんなバリエーションがあるのを知ってほしい。吉田城と船形山城、豊橋で全然違う二つの城を描かせていただいた。それぞれに面白いところがあるので見てほしい」と香川さん。同館学芸専門員の高橋洋充さんは「迷路と城の絵でとても有名。身近な城の絵を見て、１カ所でも２カ所でも関心を持ち、実際に城に出かけて」と呼びかける。
　初日には香川さんの記念講演会があった。募集開始からすぐ定員が埋まり、急ぎ追加席を設けたがそれもすぐに埋まる人気ぶり。講演では「復元イラストで見る日本の城」と題し、香川さんが歴史的な背景や城造りの特徴、イラストの描き方などを紹介した。
　資料館入り口では香川さんの絵本やグッズなども販売、ファンが立ち寄っている。一般４００円、小中高生１００円、豊橋市内の70歳以上１００円。問い合わせは豊橋市二川宿本陣資料館（０５３２・４１・８５８０）へ。
【田中博子】