豊橋の酪農家「廃業ドミノ」
円安などによる物価高の影響で、豊橋市内の酪農家が相次いで廃業に追い込まれている。光熱費や飼料代高騰に乳価値下げなどが重なり、大幅に収益が落ち込んだためだ。8月以降で5戸が辞め、今後も「廃業ドミノ」が続く見通しだ。生産者らは「価格決定権がなく公的支援も手薄。年を越せない」と危機感を募らせる。
県酪農農協豊橋支所によると、今年4月現在で43戸だった酪農家は38戸に減った。さらに2戸が年度内に廃業を検討しているという。
食品価格の値上げが相次ぐ中、乳業メーカーも11月から牛乳価格を20円値上げに踏み切った。酪農家の生産コスト高で原料の生乳価格上昇につながったとされるが、酪農家の収入は1㍑約2円(12月)の見通し。
井上洋一支所長は「出荷する生乳は加工用も含まれる。値上げに伴う需要低迷は考慮していないので、実質的にはそれを下回る可能性もある」と指摘する。
飼育コストも増加し続けている。牧草などの輸入粗飼料は今年産のもので海上運賃と合わせて1㌧80㌦上昇した。10月には1㌦150円の歴史的な円安水準となり、1㌔単価は90~110円まで高騰した。
一方、酪農家の副収入源も減っている。指定団体に売る飲用乳価は加工生乳が1㌔約75円、ほかは用途別に同100~120円という。この「プール乳価」も12月から1㌔2・5円値下がりする見通しだ。さらに、肥育農家へ販売するホルスタインと交雑種の子牛も買い控えで価格は7月から33%落ち込んだ。
こうした状況で1頭当たりの飼料費は月2244円に上り、利益は1000円を切る水準まで落ち込んだ。1頭当たりの利益に占める飼料費は72・3%となり、赤字農家は4割に達した。
こうした状況に配合飼料価格の高騰対策支援として、9月現在で県は1㌧7300円を補助。豊橋支所管内で12月中旬までに計約2000万円が支給される。市は9月補正で配合飼料と粗飼料に約1億円を計上した。畜産農家全体の補助で、申請した酪農家に計4300万円を補助したが追加支援は不可欠という。
若松町で80頭余を飼育する高部宏生さん(68)は「当面は安心して生産を続けられる補助が必要。中長期的には乳価を安定させるため、抜本的に仕組みを変えることも必要だ」と説いた。
【加藤広宣】
円安などによる物価高の影響で、豊橋市内の酪農家が相次いで廃業に追い込まれている。光熱費や飼料代高騰に乳価値下げなどが重なり、大幅に収益が落ち込んだためだ。8月以降で5戸が辞め、今後も「廃業ドミノ」が続く見通しだ。生産者らは「価格決定権がなく公的支援も手薄。年を越せない」と危機感を募らせる。
県酪農農協豊橋支所によると、今年4月現在で43戸だった酪農家は38戸に減った。さらに2戸が年度内に廃業を検討しているという。
食品価格の値上げが相次ぐ中、乳業メーカーも11月から牛乳価格を20円値上げに踏み切った。酪農家の生産コスト高で原料の生乳価格上昇につながったとされるが、酪農家の収入は1㍑約2円(12月)の見通し。
井上洋一支所長は「出荷する生乳は加工用も含まれる。値上げに伴う需要低迷は考慮していないので、実質的にはそれを下回る可能性もある」と指摘する。
飼育コストも増加し続けている。牧草などの輸入粗飼料は今年産のもので海上運賃と合わせて1㌧80㌦上昇した。10月には1㌦150円の歴史的な円安水準となり、1㌔単価は90~110円まで高騰した。
一方、酪農家の副収入源も減っている。指定団体に売る飲用乳価は加工生乳が1㌔約75円、ほかは用途別に同100~120円という。この「プール乳価」も12月から1㌔2・5円値下がりする見通しだ。さらに、肥育農家へ販売するホルスタインと交雑種の子牛も買い控えで価格は7月から33%落ち込んだ。
こうした状況で1頭当たりの飼料費は月2244円に上り、利益は1000円を切る水準まで落ち込んだ。1頭当たりの利益に占める飼料費は72・3%となり、赤字農家は4割に達した。
こうした状況に配合飼料価格の高騰対策支援として、9月現在で県は1㌧7300円を補助。豊橋支所管内で12月中旬までに計約2000万円が支給される。市は9月補正で配合飼料と粗飼料に約1億円を計上した。畜産農家全体の補助で、申請した酪農家に計4300万円を補助したが追加支援は不可欠という。
若松町で80頭余を飼育する高部宏生さん(68)は「当面は安心して生産を続けられる補助が必要。中長期的には乳価を安定させるため、抜本的に仕組みを変えることも必要だ」と説いた。
【加藤広宣】