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屠体給餌の論文で「棚橋賞」

「棚橋賞」を受けた伴さん=のんほいパークで
「棚橋賞」を受けた伴さん=のんほいパークで
獣肉の活用と動物福祉にもつながった屠体給餌(提供)
獣肉の活用と動物福祉にもつながった屠体給餌(提供)

のんほいパーク研究員の伴さん

 駆除した獣肉を動物の餌にする「屠体給餌(とたいきゅうじ)」について、豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)の研究員伴和幸さん(35)がまとめた論文が、日本博物館協会の「棚橋賞」に選ばれた。山村の獣害や動物園の餌の調達、来園者らへの動物福祉の理解促進など、SDGs(持続可能な開発目標)の点から多角的に考えた点が評価された。
 博物館黎明期に活躍した棚橋源太郎氏(1869~1961年)にちなんで創設された賞。関係者の資質向上と研究発展に尽くした研究者らを顕彰する。
 伴さんの論文「なぜ動物園で駆除された動物を餌として利用するのか?-廃棄物の利用で終わらせないために」は、協会機関紙「博物館研究」の昨年7月号で特集「SDGsと博物館」の一つとして掲載された。
 園の屠体給餌は東栄町の住民らと協働した。これまで、畑を荒らすシカなどは駆除後、少量をジビエに使う以外は埋めて処理していた。一方、園は動物を野生本来に近い状態で見せる「環境エンリッチメント」を目指し、ライオンなどの大型獣への屠体給餌を模索していた。
 住民らの出資で昨冬に専用処理施設ができ、動物園へ供給する道筋も見えてきたという。園では毎週日曜にライオンの「ワイルドめし」で屠体給餌を公開している。
 受賞論文では、山間部の課題解決や食材の地産地消など屠体給餌の有用性を多角的なデータを元に検証。来園者への啓発を促すほか、極度に動物を傷つける捕獲方法について考える必要性なども訴えたという。
 伴さんは「住民と野生動物との共存は大きなテーマ。都市部の人にも当事者意識を持ってもらう好機にもなる。そのうえで情報発信などに動物園が果たす役割は大きい」との認識を示した。
【加藤広宣】

のんほいパーク研究員の伴さん

 駆除した獣肉を動物の餌にする「屠体給餌(とたいきゅうじ)」について、豊橋総合動植物公園(のんほいパーク)の研究員伴和幸さん(35)がまとめた論文が、日本博物館協会の「棚橋賞」に選ばれた。山村の獣害や動物園の餌の調達、来園者らへの動物福祉の理解促進など、SDGs(持続可能な開発目標)の点から多角的に考えた点が評価された。
 博物館黎明期に活躍した棚橋源太郎氏(1869~1961年)にちなんで創設された賞。関係者の資質向上と研究発展に尽くした研究者らを顕彰する。
 伴さんの論文「なぜ動物園で駆除された動物を餌として利用するのか?-廃棄物の利用で終わらせないために」は、協会機関紙「博物館研究」の昨年7月号で特集「SDGsと博物館」の一つとして掲載された。
 園の屠体給餌は東栄町の住民らと協働した。これまで、畑を荒らすシカなどは駆除後、少量をジビエに使う以外は埋めて処理していた。一方、園は動物を野生本来に近い状態で見せる「環境エンリッチメント」を目指し、ライオンなどの大型獣への屠体給餌を模索していた。
 住民らの出資で昨冬に専用処理施設ができ、動物園へ供給する道筋も見えてきたという。園では毎週日曜にライオンの「ワイルドめし」で屠体給餌を公開している。
 受賞論文では、山間部の課題解決や食材の地産地消など屠体給餌の有用性を多角的なデータを元に検証。来園者への啓発を促すほか、極度に動物を傷つける捕獲方法について考える必要性なども訴えたという。
 伴さんは「住民と野生動物との共存は大きなテーマ。都市部の人にも当事者意識を持ってもらう好機にもなる。そのうえで情報発信などに動物園が果たす役割は大きい」との認識を示した。
【加藤広宣】

「棚橋賞」を受けた伴さん=のんほいパークで
「棚橋賞」を受けた伴さん=のんほいパークで
獣肉の活用と動物福祉にもつながった屠体給餌(提供)
獣肉の活用と動物福祉にもつながった屠体給餌(提供)

カテゴリー:社会・経済

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