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味岡さんの絵画 県美術館が買い上げて収蔵

制作中の土を素材に使った作品と味岡さん=豊橋市菰口町のアトリエで
制作中の土を素材に使った作品と味岡さん=豊橋市菰口町のアトリエで
県美術館に収蔵された「本坂地質調査16-1」(提供)
県美術館に収蔵された「本坂地質調査16-1」(提供)

 美術家の味岡伸太郎さん(73)=豊橋市菰口町=の絵画「本坂地質調査16-1」を、県美術館が昨年末、購入して収蔵した。2019年に同美術館で開かれた「アイチアートクロニクル」で展示された作品で、土を素材にしている。
 1995年に制作した。高さ182㌢、幅320㌢。本坂峠の崖から採取した土を絵の具の材料にして、地層のように表現して描いた。16層に分かれている。
 日本画、洋画、アクリル画などに使う絵の具は、色の元になる顔料などの「顕色材」と、顕色材をキャンバスなどに貼り付ける「固着剤」で作られている。顕色材は土や石を素材にするケースもある。味岡さんは土そのものを顕色材にして、固着剤に木工用ボンドを使い、独自の絵の具を作った。
 土との出合いは偶然。89年に友人のデザイナーから突然、「4日後にセミナーがあるので、何でもよいので作品を持ってきて」の連絡が入った。たまたま家が改装中で、赤土が庭に積んであった。これを素材にしてみようと考え、作品を完成させた。
 当時、作品づくりを模索しており、色やデザインなどを自分で決める「作為」が入ってしまうことに悩んでいた。それを解消したのが土だったという。採取した土を絵の具の素材に使い、地層の順番通りに機械的に描いていき、作為が極力入らない作品になった。以降、土を使った作品を数多く制作しており、一部では「土の美術家」と言われている。
 味岡さんは「評価いただき、ありがたい。この地方で活動する作家の励みになれば」と話していた。
 味岡さんは豊橋市生まれ。精神的にも物質的にも自然を主題にした美術作品の制作と、タイプフェイス・タイポグラフィを主にしたグラフィックデザイン、建築のデザインなどをしている。
【竹下貴信】

 美術家の味岡伸太郎さん(73)=豊橋市菰口町=の絵画「本坂地質調査16-1」を、県美術館が昨年末、購入して収蔵した。2019年に同美術館で開かれた「アイチアートクロニクル」で展示された作品で、土を素材にしている。
 1995年に制作した。高さ182㌢、幅320㌢。本坂峠の崖から採取した土を絵の具の材料にして、地層のように表現して描いた。16層に分かれている。
 日本画、洋画、アクリル画などに使う絵の具は、色の元になる顔料などの「顕色材」と、顕色材をキャンバスなどに貼り付ける「固着剤」で作られている。顕色材は土や石を素材にするケースもある。味岡さんは土そのものを顕色材にして、固着剤に木工用ボンドを使い、独自の絵の具を作った。
 土との出合いは偶然。89年に友人のデザイナーから突然、「4日後にセミナーがあるので、何でもよいので作品を持ってきて」の連絡が入った。たまたま家が改装中で、赤土が庭に積んであった。これを素材にしてみようと考え、作品を完成させた。
 当時、作品づくりを模索しており、色やデザインなどを自分で決める「作為」が入ってしまうことに悩んでいた。それを解消したのが土だったという。採取した土を絵の具の素材に使い、地層の順番通りに機械的に描いていき、作為が極力入らない作品になった。以降、土を使った作品を数多く制作しており、一部では「土の美術家」と言われている。
 味岡さんは「評価いただき、ありがたい。この地方で活動する作家の励みになれば」と話していた。
 味岡さんは豊橋市生まれ。精神的にも物質的にも自然を主題にした美術作品の制作と、タイプフェイス・タイポグラフィを主にしたグラフィックデザイン、建築のデザインなどをしている。
【竹下貴信】

制作中の土を素材に使った作品と味岡さん=豊橋市菰口町のアトリエで
制作中の土を素材に使った作品と味岡さん=豊橋市菰口町のアトリエで
県美術館に収蔵された「本坂地質調査16-1」(提供)
県美術館に収蔵された「本坂地質調査16-1」(提供)

カテゴリー:社会・経済

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