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山本製粉が動物性食材未使用の豊川稲荷土産開発

山本製粉本社(飯田線から)
山本製粉本社(飯田線から)
コンテナに詰めて運び出される製品(提供)
コンテナに詰めて運び出される製品(提供)
「精進味噌煮込みうどん」㊨と「禅カレーうどん」(提供)
「精進味噌煮込みうどん」㊨と「禅カレーうどん」(提供)

新名物「精進味噌煮込みうどん」「禅カレーうどん」

 豊川稲荷などで今年の元日から発売されたのは、カップに入った「精進味噌煮込みうどん」と「禅カレーうどん」だ。これまで稲荷独自の土産物がなく、初めての開発となった。寺といえば精進料理。動物由来の材料を使わない。この難題をクリアしたのが、豊川市小坂井町の製麺会社「山本製粉」だった。会社を訪ねた。
 1916(大正5)年に豊橋市で製粉業を開業した。自社製の小麦粉から乾麺、インスタントラーメンを製造する。そしてブランド「ポンポコラーメン」は、東三河地方で人気。県内では「寿がきや」「小笠原製粉」との三大ブランドの一角を占めている。
 鈴木利延常務によると、豊川市観光協会からカップうどん製造の打診があったのは昨年8月か9月。豊川稲荷の精進料理とコラボができないかともちかけてきた。
 山本製粉が最初に動物由来の材料を使わない取り組みを始めたのは今世紀初めのBSE(牛海綿状脳症)騒動の頃からだ。当時は「狂牛病」などと呼ばれ、国内でも発症した牛が見つかり、牛肉や牛由来の食品原材料の輸出入に、各国とも厳しい規制をかけた。
 そんな中、市場として拡大していた米国側から注文があった。「米国産牛にするか、そもそも牛を使わないインスタント麺にしてほしい」。鈴木常務は「日本人は◯か△か×で考え、△(グレーゾーン)ならいいか、としがちだ。だが正々堂々と商売するには、△は駄目だという結論になった」と話す。それが動物由来の材料を使わないラーメンだった。
 牛、豚、鶏、鶏卵、そして魚。ラーメンにとって魚は出汁(だし)として重要だが、それでも使わないことにした。おかげで、各種規制が厳しくなり、米国の店舗から大手を含めて相次いでブランドが消えていく中、山本製粉だけは残り続けた。その理由の問い合わせが増え、取引先がさらに増える結果となった。
 同社は非上場で売上高を公表していないが、対米輸出量について鈴木常務は、「BSE前は年に100箱か200箱。今は多い月にはその何百倍」と答えた。右肩上がりで増えているという。また、大手にはできない小口の注文に応える伝統も強みとなっている。
 豊川稲荷のカップうどんは、精進料理でみそ汁の人気が高いことから「みそ煮込み」と、仏教の発祥の地がインドであることから「カレー」の2種類で、油揚げが入っている。いずれも税込み500円。ふたの裏には精進料理の説明がある。まだ売り始めたばかりだが、好評のようだ。稲荷境内のほか、豊川市観光案内所で販売中。
 現在は小麦粉を使わず、国産米粉による商品が作れないか検討しているという。新型コロナウイルス禍で苦境に陥った地元の大葉を使った製品も作った。今後について鈴木常務は「お客さまが欲しいというものを届け続けたい。そして近所の人が気軽に立ち寄ってもらえる会社になりたい」と話した。

「小さな直売店」各地で展開目指す

 昨年10月から会社の敷津に直売店を開いた。14坪の小さな店だが、同社製品や取引先の麺類などが安値で並んでいる。岡崎市や浜松市からも買いに来る人がいる。このような店を各地に展開したい考えだ。
【山田一晶】

新名物「精進味噌煮込みうどん」「禅カレーうどん」

 豊川稲荷などで今年の元日から発売されたのは、カップに入った「精進味噌煮込みうどん」と「禅カレーうどん」だ。これまで稲荷独自の土産物がなく、初めての開発となった。寺といえば精進料理。動物由来の材料を使わない。この難題をクリアしたのが、豊川市小坂井町の製麺会社「山本製粉」だった。会社を訪ねた。
 1916(大正5)年に豊橋市で製粉業を開業した。自社製の小麦粉から乾麺、インスタントラーメンを製造する。そしてブランド「ポンポコラーメン」は、東三河地方で人気。県内では「寿がきや」「小笠原製粉」との三大ブランドの一角を占めている。
 鈴木利延常務によると、豊川市観光協会からカップうどん製造の打診があったのは昨年8月か9月。豊川稲荷の精進料理とコラボができないかともちかけてきた。
 山本製粉が最初に動物由来の材料を使わない取り組みを始めたのは今世紀初めのBSE(牛海綿状脳症)騒動の頃からだ。当時は「狂牛病」などと呼ばれ、国内でも発症した牛が見つかり、牛肉や牛由来の食品原材料の輸出入に、各国とも厳しい規制をかけた。
 そんな中、市場として拡大していた米国側から注文があった。「米国産牛にするか、そもそも牛を使わないインスタント麺にしてほしい」。鈴木常務は「日本人は◯か△か×で考え、△(グレーゾーン)ならいいか、としがちだ。だが正々堂々と商売するには、△は駄目だという結論になった」と話す。それが動物由来の材料を使わないラーメンだった。
 牛、豚、鶏、鶏卵、そして魚。ラーメンにとって魚は出汁(だし)として重要だが、それでも使わないことにした。おかげで、各種規制が厳しくなり、米国の店舗から大手を含めて相次いでブランドが消えていく中、山本製粉だけは残り続けた。その理由の問い合わせが増え、取引先がさらに増える結果となった。
 同社は非上場で売上高を公表していないが、対米輸出量について鈴木常務は、「BSE前は年に100箱か200箱。今は多い月にはその何百倍」と答えた。右肩上がりで増えているという。また、大手にはできない小口の注文に応える伝統も強みとなっている。
 豊川稲荷のカップうどんは、精進料理でみそ汁の人気が高いことから「みそ煮込み」と、仏教の発祥の地がインドであることから「カレー」の2種類で、油揚げが入っている。いずれも税込み500円。ふたの裏には精進料理の説明がある。まだ売り始めたばかりだが、好評のようだ。稲荷境内のほか、豊川市観光案内所で販売中。
 現在は小麦粉を使わず、国産米粉による商品が作れないか検討しているという。新型コロナウイルス禍で苦境に陥った地元の大葉を使った製品も作った。今後について鈴木常務は「お客さまが欲しいというものを届け続けたい。そして近所の人が気軽に立ち寄ってもらえる会社になりたい」と話した。

「小さな直売店」各地で展開目指す

 昨年10月から会社の敷津に直売店を開いた。14坪の小さな店だが、同社製品や取引先の麺類などが安値で並んでいる。岡崎市や浜松市からも買いに来る人がいる。このような店を各地に展開したい考えだ。
【山田一晶】

山本製粉本社(飯田線から)
山本製粉本社(飯田線から)
コンテナに詰めて運び出される製品(提供)
コンテナに詰めて運び出される製品(提供)
「精進味噌煮込みうどん」㊨と「禅カレーうどん」(提供)
「精進味噌煮込みうどん」㊨と「禅カレーうどん」(提供)

カテゴリー:社会・経済

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