文字の大きさ

市営住宅敷地内で地域猫活動 豊橋市が正式許可

今年度の豊橋市の市営住宅入居申込案内書。動物の持ち込みや飼育が厳重に戒められている
今年度の豊橋市の市営住宅入居申込案内書。動物の持ち込みや飼育が厳重に戒められている
現場の市営住宅で確認されている飼い主のいない猫。「さくら耳」になっていない(提供)
現場の市営住宅で確認されている飼い主のいない猫。「さくら耳」になっていない(提供)
市営住宅敷地内で地域猫活動 豊橋市が正式許可

 豊橋市は先月末、市営住宅敷地内での地域猫活動を正式に認めた。動物福祉団体によると、少なくとも県内では初めて。全国でも前例がないという指摘もある。団体は「市の決断を高く評価します」としている。近く飼い主のいない猫(野良猫)の捕獲作業を始める。
 現場は市内に複数ある市営住宅の一つ。東三河で地域猫活動を続ける「命にやさしいまちづくり ハーツ」の古橋幸子代表によると、ここでは約5年前に野良猫が繁殖し、約40匹にまで増えた。そこでハーツが費用を全額負担して猫を捕獲のうえ手術し、子猫は連れ帰って新しい飼い主を探すなどした。その結果、最近までは手術済みの猫が5匹だけになっていた。地域猫活動は、野良猫を減らす唯一の方法(提唱者で神奈川県動物愛護協会常務理事で獣医師の黒澤泰さん)とされる。
 一方、市営住宅ではペットなどの飼育を全面的に禁止している。今年度の市住宅管理センターが出している「入居申込案内書」にも明記されており「飼育が確認された時は、退去を求めることがあります」と太字で書かれている。
 そして地域猫活動は、猫を捕獲し、不妊・去勢手術をしたうえで、①時間と場所を決めた餌やり②トイレの清掃と管理―に地域が合意して取り組むことを指す。これによって初めて、猫を減らせる。
 だがこの「餌やり」が、市営住宅での禁止行為に該当するとして、市はこれまで地域猫活動を認めてこなかった。5年前も市の「黙認」という形で取り組んだと古橋代表は言う。結果として活動の趣旨が他の住民に伝わらず、猫嫌いの人から非難されるような事態すら起きた。
 その住宅でまた猫が6匹増えた。何もしなければ不幸な猫が増えるだけだ。住民からの訴えを受け、今回は正式に許可を得たうえで活動をしようとハーツは市と交渉を重ねた。担当の市住宅課職員も「まず現場を確認する」「前向きに検討する」との方針で4月10日、古橋代表や住民らとの話し合いを持った。
 曲折はあったものの、同28日になって正式許可が出た。課の担当者は「住民の要望に応えて判断した。活動の成果を見守りたい」としている。今後、地元区長や餌やりボランティアを交えた地域猫の勉強会開催を検討しているという。
 ハーツは正式許可が出たことを受けて、市の「地域猫不妊去勢手術費補助金」の交付を申請し、猫の捕獲を始める。古橋代表によると、豊橋の公営住宅で野良猫のいないところはないという。猫を巡り、悲しい出来事も起きた。「今回の豊橋市の英断が、猫問題に悩む他の公営住宅にも波及してほしい」と期待している。
【山田一晶】

 豊橋市は先月末、市営住宅敷地内での地域猫活動を正式に認めた。動物福祉団体によると、少なくとも県内では初めて。全国でも前例がないという指摘もある。団体は「市の決断を高く評価します」としている。近く飼い主のいない猫(野良猫)の捕獲作業を始める。
 現場は市内に複数ある市営住宅の一つ。東三河で地域猫活動を続ける「命にやさしいまちづくり ハーツ」の古橋幸子代表によると、ここでは約5年前に野良猫が繁殖し、約40匹にまで増えた。そこでハーツが費用を全額負担して猫を捕獲のうえ手術し、子猫は連れ帰って新しい飼い主を探すなどした。その結果、最近までは手術済みの猫が5匹だけになっていた。地域猫活動は、野良猫を減らす唯一の方法(提唱者で神奈川県動物愛護協会常務理事で獣医師の黒澤泰さん)とされる。
 一方、市営住宅ではペットなどの飼育を全面的に禁止している。今年度の市住宅管理センターが出している「入居申込案内書」にも明記されており「飼育が確認された時は、退去を求めることがあります」と太字で書かれている。
 そして地域猫活動は、猫を捕獲し、不妊・去勢手術をしたうえで、①時間と場所を決めた餌やり②トイレの清掃と管理―に地域が合意して取り組むことを指す。これによって初めて、猫を減らせる。
 だがこの「餌やり」が、市営住宅での禁止行為に該当するとして、市はこれまで地域猫活動を認めてこなかった。5年前も市の「黙認」という形で取り組んだと古橋代表は言う。結果として活動の趣旨が他の住民に伝わらず、猫嫌いの人から非難されるような事態すら起きた。
 その住宅でまた猫が6匹増えた。何もしなければ不幸な猫が増えるだけだ。住民からの訴えを受け、今回は正式に許可を得たうえで活動をしようとハーツは市と交渉を重ねた。担当の市住宅課職員も「まず現場を確認する」「前向きに検討する」との方針で4月10日、古橋代表や住民らとの話し合いを持った。
 曲折はあったものの、同28日になって正式許可が出た。課の担当者は「住民の要望に応えて判断した。活動の成果を見守りたい」としている。今後、地元区長や餌やりボランティアを交えた地域猫の勉強会開催を検討しているという。
 ハーツは正式許可が出たことを受けて、市の「地域猫不妊去勢手術費補助金」の交付を申請し、猫の捕獲を始める。古橋代表によると、豊橋の公営住宅で野良猫のいないところはないという。猫を巡り、悲しい出来事も起きた。「今回の豊橋市の英断が、猫問題に悩む他の公営住宅にも波及してほしい」と期待している。
【山田一晶】

今年度の豊橋市の市営住宅入居申込案内書。動物の持ち込みや飼育が厳重に戒められている
今年度の豊橋市の市営住宅入居申込案内書。動物の持ち込みや飼育が厳重に戒められている
現場の市営住宅で確認されている飼い主のいない猫。「さくら耳」になっていない(提供)
現場の市営住宅で確認されている飼い主のいない猫。「さくら耳」になっていない(提供)
市営住宅敷地内で地域猫活動 豊橋市が正式許可

カテゴリー:社会・経済 / 政治・行政

 PR

PR