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合成燃料普及で自動車産業守る

合成燃料商用化前倒しについて報告する今枝氏=東愛知新聞社で
合成燃料商用化前倒しについて報告する今枝氏=東愛知新聞社で

今枝衆院議員らの要望で実用化など前倒しへ

 自民党の今枝宗一郎衆院議員(愛知14区)は19日、東愛知新聞社を訪れ、脱炭素社会で開発が急務となっている「合成燃料」について「実用化、商用化とも政府が前倒しする方針を固めた」と報告した。自動車産業界に大きく影響する。
 合成燃料は、大気中の二酸化炭素(CO2)を取り出し、水素と合成して得られる次世代燃料。エンジンで燃焼して出るCO2が大気由来のため、カーボンニュートラルが成り立つ。今のガソリン車に給油すればそのまま走れるメリットがある。
 ただ、合成燃料は実験室レベルでは実現しているが、コスト削減が必要だ。特に水素調達が課題で、現在は既存燃料の10倍程度の生産コストがかかっている。ドイツのメーカーはチリに風力発電を使った合成燃料工場を建設し、昨年末から稼働させた。中部圏では産学官で大規模水素サプライチェーンを実現する研究が進んでいる。
 一方、現在の次世代自動車の主流はバッテリー系の電気自動車(EV)。政府は2035年までのガソリン車の新車販売を禁止し、EVと燃料電池車のみとする方針を示している。EVは内燃機関がないため、部品点数が少ない。EV一辺倒になると、裾野の広い自動車産業界に雇用面などで多大な影響が出ることが指摘されている。
 そこで、党の合成燃料推進議員連盟などで事務局長を務めている今枝氏らは政府に対し、当初は「2030年実用化、2040年商用化」としていた合成燃料に関する政府目標を5年以上前倒しするよう要請と提言を重ねていた。
 そしてこのほどあった官民協議会の場で実用化は25年、商用化は30年代前半とする姿勢を明らかにしたという。具体的には25年に一日1バレル(約160㍑)の生産プラントを稼働させる。そして34~35年に一日3万バレルが安定的に供給できる体制を構築する。
 今枝氏は「環境規制に厳しい欧州が以前は35年までにガソリン車全廃を掲げていたが、合成燃料のみを使用する車両は販売できるように改めた。なんとか間に合った」と述べた。そして「これからも三河地方に大きな影響のある自動車産業を守り、雇用を守る」と決意を示した。
【山田一晶】

今枝衆院議員らの要望で実用化など前倒しへ

 自民党の今枝宗一郎衆院議員(愛知14区)は19日、東愛知新聞社を訪れ、脱炭素社会で開発が急務となっている「合成燃料」について「実用化、商用化とも政府が前倒しする方針を固めた」と報告した。自動車産業界に大きく影響する。
 合成燃料は、大気中の二酸化炭素(CO2)を取り出し、水素と合成して得られる次世代燃料。エンジンで燃焼して出るCO2が大気由来のため、カーボンニュートラルが成り立つ。今のガソリン車に給油すればそのまま走れるメリットがある。
 ただ、合成燃料は実験室レベルでは実現しているが、コスト削減が必要だ。特に水素調達が課題で、現在は既存燃料の10倍程度の生産コストがかかっている。ドイツのメーカーはチリに風力発電を使った合成燃料工場を建設し、昨年末から稼働させた。中部圏では産学官で大規模水素サプライチェーンを実現する研究が進んでいる。
 一方、現在の次世代自動車の主流はバッテリー系の電気自動車(EV)。政府は2035年までのガソリン車の新車販売を禁止し、EVと燃料電池車のみとする方針を示している。EVは内燃機関がないため、部品点数が少ない。EV一辺倒になると、裾野の広い自動車産業界に雇用面などで多大な影響が出ることが指摘されている。
 そこで、党の合成燃料推進議員連盟などで事務局長を務めている今枝氏らは政府に対し、当初は「2030年実用化、2040年商用化」としていた合成燃料に関する政府目標を5年以上前倒しするよう要請と提言を重ねていた。
 そしてこのほどあった官民協議会の場で実用化は25年、商用化は30年代前半とする姿勢を明らかにしたという。具体的には25年に一日1バレル(約160㍑)の生産プラントを稼働させる。そして34~35年に一日3万バレルが安定的に供給できる体制を構築する。
 今枝氏は「環境規制に厳しい欧州が以前は35年までにガソリン車全廃を掲げていたが、合成燃料のみを使用する車両は販売できるように改めた。なんとか間に合った」と述べた。そして「これからも三河地方に大きな影響のある自動車産業を守り、雇用を守る」と決意を示した。
【山田一晶】

合成燃料商用化前倒しについて報告する今枝氏=東愛知新聞社で
合成燃料商用化前倒しについて報告する今枝氏=東愛知新聞社で

カテゴリー:政治・行政

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