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豊橋の割烹一平で9月9日に音大生ら演奏会

演奏会のチラシを持つ仕事姿の鈴村さん=一平で
演奏会のチラシを持つ仕事姿の鈴村さん=一平で
演奏する県立芸大の早川さん、甲斐さん、石川さん(左から)
演奏する県立芸大の早川さん、甲斐さん、石川さん(左から)
東京芸大の青木さん
東京芸大の青木さん

バイトの技科大生・鈴村さんが提案

 豊橋市松葉町2の「割烹一平」で、プロを目指す現役音大生4人による「若武者達の演奏会」が9月9日に開かれることになった。企画したのは、ここでアルバイトをする鈴村日奈子さん(20)。豊橋技術科学大学情報知能工学部2年生だ。新型コロナウイルス禍で演奏の場がなくなった学生に発表の機会を提供する。
 出演は、愛知県立芸術大学の甲斐美乃さん(チェロ)と、早川香音さん(バイオリン)と、石川芽莉さん(ビオラ)の3人と、東京芸術大学の青木由依(ソプラノ)さん。全員2年生だ。
 実は、鈴村さんと4人は名古屋市立菊里高校音楽科のクラスメート。鈴村さんもピアノ専攻だった。高校入学時はクラスの皆と同じように、音楽系の大学に進み、将来は音楽の仕事をしようと考えていた。
 ところが2年生の時にコロナ禍が襲った。突然の休校、練習もできない学校生活の規制。先輩たちが出演するコンサートなどが相次いで中止され、職を失っているのを見ていて、考えが変わった。「自分は音楽では生きていけない。違う形でアプローチしよう」。一般大学を目指すことにした。名古屋市の自宅はグランドピアノがあり、部屋は防音化してある。ずっと練習を続けてきた。家族に伝えると、父は背中を押してくれた。
 ただ、自分で進路を変えても、菊里高校の普通科に移れるわけではない。籍はそのままで、独学で受験勉強を始めた。「高校を辞めようかと思ったことも。でも、諦めてたまるか、と勉強を続けました」と振り返る。
 受験の結果、最初はとても無理だと思っていた技科大に見事に合格した。技科大は高等専門学校からの3年次への編入が8割を占める。少数派の1年次入学組の同級生に菊里の生徒が2人いた。「音楽科は別世界なので全然面識がありませんでした」と話す。
 鈴村さんは、一平でアルバイトを始め、2階席で落語会「一平寄席」などが開かれているのを知った。「同級生を呼んで演奏会を開けないでしょうか」と、おかみの杉浦由美子さんに提案したのは6月。話がまとまり、企画が実現することになった。「若武者達の演奏会」というタイトルは杉浦さんが考えた。「まさに、これから音楽の世界に出て戦う学生なのだから」と杉浦さん。鈴村さんは当日は司会進行を務める。
 今は外国人留学生とともに学内の寮で生活している。アップライトピアノがあり時々、演奏してみせる。自宅に帰ってグランドピアノを弾くのは月に1回程度だ。
 大学の中内茂樹教授の研究室に入りたいと思っている。視覚認知情報学の研究者だが、5月に豊橋で開かれ、大盛況だっ歌劇「アンドレア・シェニエ」に出演した「三河市民オペラ合唱団」の団長でもある。
 鈴村さんは小学生の時の3年間、英国で生活した経験がある。「演奏会が好評だったら、また挑戦したい。大学卒業後は、海外で生活し、音楽と技科大で学んだことを生かしたい」と夢を語った。
 演奏会は9月9日午後5時半開演。完全予約制で定員20人、残席わずか。会費4500円(軽食とドリンク付き)。弦楽器の演奏は、グリエール/8つの小品より(ガボット、ベルスース、スケルツォ)▽シューベルト/弦楽三重奏曲第1番より1楽章▽ベートーベン/セレナーデ作品8より1、2、4、5楽章。また声楽とのアンサンブルは、「ROSA」作曲トスティ▽「早春賦」作曲中田章▽「落葉松」作曲小林秀雄。いずれも変更の可能性あり。
 問い合わせは一平(0532・52・4426)へ。
【山田一晶】

バイトの技科大生・鈴村さんが提案

 豊橋市松葉町2の「割烹一平」で、プロを目指す現役音大生4人による「若武者達の演奏会」が9月9日に開かれることになった。企画したのは、ここでアルバイトをする鈴村日奈子さん(20)。豊橋技術科学大学情報知能工学部2年生だ。新型コロナウイルス禍で演奏の場がなくなった学生に発表の機会を提供する。
 出演は、愛知県立芸術大学の甲斐美乃さん(チェロ)と、早川香音さん(バイオリン)と、石川芽莉さん(ビオラ)の3人と、東京芸術大学の青木由依(ソプラノ)さん。全員2年生だ。
 実は、鈴村さんと4人は名古屋市立菊里高校音楽科のクラスメート。鈴村さんもピアノ専攻だった。高校入学時はクラスの皆と同じように、音楽系の大学に進み、将来は音楽の仕事をしようと考えていた。
 ところが2年生の時にコロナ禍が襲った。突然の休校、練習もできない学校生活の規制。先輩たちが出演するコンサートなどが相次いで中止され、職を失っているのを見ていて、考えが変わった。「自分は音楽では生きていけない。違う形でアプローチしよう」。一般大学を目指すことにした。名古屋市の自宅はグランドピアノがあり、部屋は防音化してある。ずっと練習を続けてきた。家族に伝えると、父は背中を押してくれた。
 ただ、自分で進路を変えても、菊里高校の普通科に移れるわけではない。籍はそのままで、独学で受験勉強を始めた。「高校を辞めようかと思ったことも。でも、諦めてたまるか、と勉強を続けました」と振り返る。
 受験の結果、最初はとても無理だと思っていた技科大に見事に合格した。技科大は高等専門学校からの3年次への編入が8割を占める。少数派の1年次入学組の同級生に菊里の生徒が2人いた。「音楽科は別世界なので全然面識がありませんでした」と話す。
 鈴村さんは、一平でアルバイトを始め、2階席で落語会「一平寄席」などが開かれているのを知った。「同級生を呼んで演奏会を開けないでしょうか」と、おかみの杉浦由美子さんに提案したのは6月。話がまとまり、企画が実現することになった。「若武者達の演奏会」というタイトルは杉浦さんが考えた。「まさに、これから音楽の世界に出て戦う学生なのだから」と杉浦さん。鈴村さんは当日は司会進行を務める。
 今は外国人留学生とともに学内の寮で生活している。アップライトピアノがあり時々、演奏してみせる。自宅に帰ってグランドピアノを弾くのは月に1回程度だ。
 大学の中内茂樹教授の研究室に入りたいと思っている。視覚認知情報学の研究者だが、5月に豊橋で開かれ、大盛況だっ歌劇「アンドレア・シェニエ」に出演した「三河市民オペラ合唱団」の団長でもある。
 鈴村さんは小学生の時の3年間、英国で生活した経験がある。「演奏会が好評だったら、また挑戦したい。大学卒業後は、海外で生活し、音楽と技科大で学んだことを生かしたい」と夢を語った。
 演奏会は9月9日午後5時半開演。完全予約制で定員20人、残席わずか。会費4500円(軽食とドリンク付き)。弦楽器の演奏は、グリエール/8つの小品より(ガボット、ベルスース、スケルツォ)▽シューベルト/弦楽三重奏曲第1番より1楽章▽ベートーベン/セレナーデ作品8より1、2、4、5楽章。また声楽とのアンサンブルは、「ROSA」作曲トスティ▽「早春賦」作曲中田章▽「落葉松」作曲小林秀雄。いずれも変更の可能性あり。
 問い合わせは一平(0532・52・4426)へ。
【山田一晶】

演奏会のチラシを持つ仕事姿の鈴村さん=一平で
演奏会のチラシを持つ仕事姿の鈴村さん=一平で
演奏する県立芸大の早川さん、甲斐さん、石川さん(左から)
演奏する県立芸大の早川さん、甲斐さん、石川さん(左から)
東京芸大の青木さん
東京芸大の青木さん

カテゴリー:社会・経済

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