AI活用でスマホ動画から子どもの行動分析

豊橋市が保育向上へ「エフバイタル」と実証実験

　豊橋市は13日、子ども向けヘルステック企業「エフバイタル」（東京都中央区、安島真澄社長）と、スマートフォンで撮った子どもの動画データからＡＩ（人工知能）で行動や傾向を分析する実証実験を始めた。保育の質の向上を目指す。結果から保育者向け研修モデルも構築し、子どもの個性に合ったきめ細かなサービスにつなげる。
　エフバイタルが持つ非接触型のバイタルセンシング技術を生かし、園内に設けたスマホの動画から、姿勢や心拍数などの生理データを複合的にとらえ、気持ちや体の状態を言葉では表せない幼児の内部状態を推定する。
　実証実験ではポジィブな感情データの採取が目的で「笑顔」「集中」「興奮」の三つの行動要因を動画データから解析する。保育士らへの事前アンケートとも照らし合わせ、保育者の感覚と客観データの違いも分析に役立てる。
　この日始まった実証実験は、市立保育園と高山学園の５園計22クラスで０～６歳児の３８７人が対象。３週間にわたり動画データを集める。
　実証実験に参加した市立くるみ保育園（松葉町３）では、保護者の許可を得た４クラス97人を対象に収録が始まった。
　各クラスで３台、午前９時半から午後４時まで連続撮影する。１週間ごとにデータを収めた記録媒体をエフバイタル社へ送り解析する。
　同園の桐島綾野主任（43）は「保育士も思い込みで表情や心境を読み間違えることはある。子どもの気持ちに寄り添った対応につながる」と期待した。さらに「興味を満たす遊具も徐々に変わる。段階ごとに違う遊具をそろえることで子どもの個性を伸ばし、関心を広めることも可能になるのではないか」という。
　市役所で12日にあったエフバイタルとの協定締結式で、浅井由崇市長は「分析結果で得た新たな気付きを現場での研修に生かしたい。保育の質を保つ重要課題の解決につながる」と期待した。
【加藤広宣】