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三河市民オペラ制作委がJASRAC音楽文化賞

授賞式での記念写真。前列左から2人目が鈴木委員長。後列中央6人が駆けつけたキャスト=都内で(提供)
授賞式での記念写真。前列左から2人目が鈴木委員長。後列中央6人が駆けつけたキャスト=都内で(提供)
「アンドレア・シェニエ」での舞台あいさつ=豊橋市で5月
「アンドレア・シェニエ」での舞台あいさつ=豊橋市で5月
東愛知新聞社での受賞報告
東愛知新聞社での受賞報告

 18年に及ぶ活動を続け、今年5月には6年ぶりのグランド・オペラ「アンドレア・シェニエ」の上演を成功させた「三河市民オペラ制作委員会」は「第10回JASRAC音楽文化賞」を受賞した。今月17日、都内で表彰式があった。鈴木伊能勢委員長らが24日、東愛知新聞社を訪れ、式の様子を伝えるとともに、表彰楯を披露した。

 三河市民オペラ制作委員会は2005年、豊橋市制100周年を前に発足した「豊橋市民オペラ実行委員会」が母体。この年には各種事業が立ち上がったが、残っているのは制作委員会のみだという。
 06年に「魔笛」を上演。08年に今の名称に変え、活動を三河地域全体に広げた。09年「カルメン」、13年「トゥーランドット」、17年「イル・トロヴァトーレ」。ほかにもオペラコンサート、オペラセミナーなどを続けている。「アンドレア・シェニエ」の前には、本紙でスタッフやキャスト14人がエッセーを寄せている。

 「第8回佐川吉男音楽賞・奨励賞」(10年)▽「県芸術文化選奨・新人賞」(11年)▽「第11回豊橋文化奨励賞特別賞」(同)▽「豊橋市第58回市勢功労者」(13年)▽「第11回三菱UFJ信託音楽賞奨励賞」(14年)▽「第26回三菱UFJ信託音楽賞」(18年)―など受賞多数。
 「舞台と観客が一体となり、観客の感動だけでなく、そこにいるすべての心を動かし、よろこびを分かち合い、幸せになれるような舞台」がモットー。地元経済界が支援体制を築き、活動する。アマチュア市民合唱団にプロの指揮者や演出家、歌手を組み合わせて上演するのが特徴とされる。行政など公的機関は直接関与しておらず、市民が一体となって取り組み、地域社会の活性化に貢献している。

 制作委員会が中心となり、オペラの素晴らしさを市民に浸透させるための活動を重ねて作り上げる。「そのスタイルは、市民オペラのひとつのモデルケースとなった」ことが受賞理由となっている。
 昭和音楽大学長補佐の石田麻子教授が昨年刊行した「市民オペラ」(集英社新書)は制作委員会を取り上げており「組織マネジメントやマーケティングのプロフェッショナルである『ビジネスマンのつくるオペラ』」と紹介する。そのうえで「最高の舞台のつくり方の方程式」「継続は目的ではない」のキーワードで成り立っていると分析した。

 鈴木委員長は「豊橋市は人口規模でいうと全国63位。制作委員会のやることに『しょせん、豊橋じゃないか』と言われることが我慢ならなかった。妥協したくなかった。日本最高を目指している」と自負する。「オペラだけでは『総合芸術』ではない。感動があって初めて『総合芸術』になる」と持論を述べた。
 そして受賞について「日本で最高の賞をもらった」と喜んだ。そのうえで「東三河の文化レベルが日本最高であることも認められた。地域を挙げて応援してくれた皆さんのおかげ」と感謝した。
 授賞式には委員会メンバーだけでなく、「アンドレア・シェニエ」に出演したキャストも駆けつけた。鈴木委員長によると、JASRAC側も驚いていたといい「一緒になって祝ってくれた。喜びを分かち合えた」と振り返った。

 JASRAC音楽文化賞は、売り上げや利用実績などの数字には表れない地道な活動をしている個人や団体、作品などに光を当てる。2014年に創設され、音楽文化の発展に寄与した功績をたたえ顕彰することで、今後の活動への励みとしてもらう。東愛知新聞社も加盟する日本新聞協会が推薦協力し、全国紙などの文化部担当編集幹部が審査した。
 今回はほかに、アナログレコードの音を出す溝の型を世界で唯一製作している「パブリックレコード」(長野県宮田村)と、60年にわたって都内で「パリ祭」を開催してきた「パリ祭実行委員会」が同時受賞した。
【山田一晶】

 18年に及ぶ活動を続け、今年5月には6年ぶりのグランド・オペラ「アンドレア・シェニエ」の上演を成功させた「三河市民オペラ制作委員会」は「第10回JASRAC音楽文化賞」を受賞した。今月17日、都内で表彰式があった。鈴木伊能勢委員長らが24日、東愛知新聞社を訪れ、式の様子を伝えるとともに、表彰楯を披露した。

 三河市民オペラ制作委員会は2005年、豊橋市制100周年を前に発足した「豊橋市民オペラ実行委員会」が母体。この年には各種事業が立ち上がったが、残っているのは制作委員会のみだという。
 06年に「魔笛」を上演。08年に今の名称に変え、活動を三河地域全体に広げた。09年「カルメン」、13年「トゥーランドット」、17年「イル・トロヴァトーレ」。ほかにもオペラコンサート、オペラセミナーなどを続けている。「アンドレア・シェニエ」の前には、本紙でスタッフやキャスト14人がエッセーを寄せている。

 「第8回佐川吉男音楽賞・奨励賞」(10年)▽「県芸術文化選奨・新人賞」(11年)▽「第11回豊橋文化奨励賞特別賞」(同)▽「豊橋市第58回市勢功労者」(13年)▽「第11回三菱UFJ信託音楽賞奨励賞」(14年)▽「第26回三菱UFJ信託音楽賞」(18年)―など受賞多数。
 「舞台と観客が一体となり、観客の感動だけでなく、そこにいるすべての心を動かし、よろこびを分かち合い、幸せになれるような舞台」がモットー。地元経済界が支援体制を築き、活動する。アマチュア市民合唱団にプロの指揮者や演出家、歌手を組み合わせて上演するのが特徴とされる。行政など公的機関は直接関与しておらず、市民が一体となって取り組み、地域社会の活性化に貢献している。

 制作委員会が中心となり、オペラの素晴らしさを市民に浸透させるための活動を重ねて作り上げる。「そのスタイルは、市民オペラのひとつのモデルケースとなった」ことが受賞理由となっている。
 昭和音楽大学長補佐の石田麻子教授が昨年刊行した「市民オペラ」(集英社新書)は制作委員会を取り上げており「組織マネジメントやマーケティングのプロフェッショナルである『ビジネスマンのつくるオペラ』」と紹介する。そのうえで「最高の舞台のつくり方の方程式」「継続は目的ではない」のキーワードで成り立っていると分析した。

 鈴木委員長は「豊橋市は人口規模でいうと全国63位。制作委員会のやることに『しょせん、豊橋じゃないか』と言われることが我慢ならなかった。妥協したくなかった。日本最高を目指している」と自負する。「オペラだけでは『総合芸術』ではない。感動があって初めて『総合芸術』になる」と持論を述べた。
 そして受賞について「日本で最高の賞をもらった」と喜んだ。そのうえで「東三河の文化レベルが日本最高であることも認められた。地域を挙げて応援してくれた皆さんのおかげ」と感謝した。
 授賞式には委員会メンバーだけでなく、「アンドレア・シェニエ」に出演したキャストも駆けつけた。鈴木委員長によると、JASRAC側も驚いていたといい「一緒になって祝ってくれた。喜びを分かち合えた」と振り返った。

 JASRAC音楽文化賞は、売り上げや利用実績などの数字には表れない地道な活動をしている個人や団体、作品などに光を当てる。2014年に創設され、音楽文化の発展に寄与した功績をたたえ顕彰することで、今後の活動への励みとしてもらう。東愛知新聞社も加盟する日本新聞協会が推薦協力し、全国紙などの文化部担当編集幹部が審査した。
 今回はほかに、アナログレコードの音を出す溝の型を世界で唯一製作している「パブリックレコード」(長野県宮田村)と、60年にわたって都内で「パリ祭」を開催してきた「パリ祭実行委員会」が同時受賞した。
【山田一晶】

授賞式での記念写真。前列左から2人目が鈴木委員長。後列中央6人が駆けつけたキャスト=都内で(提供)
授賞式での記念写真。前列左から2人目が鈴木委員長。後列中央6人が駆けつけたキャスト=都内で(提供)
「アンドレア・シェニエ」での舞台あいさつ=豊橋市で5月
「アンドレア・シェニエ」での舞台あいさつ=豊橋市で5月
東愛知新聞社での受賞報告
東愛知新聞社での受賞報告

カテゴリー:社会・経済

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