文字の大きさ

地域猫活動費を計上 新城の鳳来東部地域自治区

新城市の地域猫(提供)
新城市の地域猫(提供)
市民団体によって捕獲された猫(同)
市民団体によって捕獲された猫(同)
猫などの不妊・去勢手術に対する市町村の助成状況。久野さんの調査に基づく。緑は現金、黄はチケット
猫などの不妊・去勢手術に対する市町村の助成状況。久野さんの調査に基づく。緑は現金、黄はチケット

 飼い主のいない猫(野良猫)対策として、新城市の鳳来東部地域自治区が、地域猫=ことば=活動事業費37万5000円を計上した。市は3月議会でこの事業費を含んだ新年度予算案を提案する。自治体としての「地域猫活動への助成」といえるかどうかは微妙だが、制度のない市としての第一歩と評価する人もいる。
 市は2013年度から行政区とは別の自治区10カ所を設け、各区で住民組織の「地域協議会」を組織した。毎年度、各自治区内の課題や地域活性化につながる施策を協議会で検討し、予算案を作成して市に建議する。
 24年度計画案で鳳来東部地域自治区は、「地域の暮らしを守るための事業」の中に「飼い主のいない猫対策推進事業」を盛り込んだ。ほかにも「地域の安心安全を促すための事業」「地域の活性化を図るための事業」があり、たとえば「観光地混雑緩和事業(臨時駐車場の開設とシャトルバス運行費)」として278万5000円などを計上している。鳳来東部地域自治区予算総額は680万5000円。他の計画案とともに昨年10月30日に下江洋行市長に建議書を手渡した。
 市議によると、地域からの提案のため、施策と予算案については地元要望として尊重されるという。このため、議会でも原案通り認められるとみられる。
 自治区の関係者によると、地域猫活動事業費は、以前から市側が提案していたという。助成制度のある他の市町村のように、不妊・去勢手術費用を一部負担する内容になるとみられる。
 下江市長は取材に対し「まずは一歩を踏み出します。鳳来東部を皮切りに、必要としている地域で予算化していきたい」と話した。
 昨年12月に蒲郡市であった「地域猫セミナー2023」での配布資料によると、猫の不妊・去勢手術を何らかの形で助成しているのは県内54市町村のうち、41あった。未対応は東三河では新城市、田原市、東栄町など13だった。
 半田市や西尾市などは、「さくらねこ無料手術事業」として、「チケット」申請の手伝いをしている。公益財団法人「どうぶつ基金」(兵庫県芦屋市)に対し、野良猫の手術をするための無料不妊手術チケットの発行を手伝う内容。個人で申請するのはハードルが高く、行政が間に入って地域猫活動を推進する。ただ、チケットで手術をしてくれる獣医にも限りがあり、地方では難しい現状もある。
 今回の公費投入について、新城市で地域猫活動を続ける市民団体「地域猫サポーター猫球(ねこたま)」の青木琴美代表は「(新城市は)県内で助成制度が無い数少ない市の一つとなってしまいました。困っている方はたくさんいます。すぐにでも市内全域で利用できる助成制度ができることを期待しております」とコメントした。

 新城市の公費投入について、元大府市職員で地域猫活動アドバイザーの久野幸裕さんは「全市域が対象となっておらず、『助成制度ではない』と判断する。ただ市長が最初の一歩としているので、将来に期待したい」と評した。
 久野さんは「飼い主のいない猫の問題は地域が解決することが肝要だ。ボランティアの愛護活動だけでは続かない。地域猫セミナーでは、これが環境美化活動であり、地域活動でもあるという理解が広まった」と話した。
 新城市の次の施策が注目される。
【安藤聡、山田一晶】

ことば
地域猫
 特定の個人ではなく、その地域の住民が共同で飼育と管理をしている猫。。Trap(捕獲)▽Neuter(不妊・去勢手術)▽Return(元の場所に戻す)に加え、Management(トイレや餌の管理)までを含めて「TNRM」と呼ばれる。猫を元の場所に戻すのは、他の場所から手術をしていない野良猫が入り込まないようにするため。繁殖しないため、猫は自然に減っていく。

 飼い主のいない猫(野良猫)対策として、新城市の鳳来東部地域自治区が、地域猫=ことば=活動事業費37万5000円を計上した。市は3月議会でこの事業費を含んだ新年度予算案を提案する。自治体としての「地域猫活動への助成」といえるかどうかは微妙だが、制度のない市としての第一歩と評価する人もいる。
 市は2013年度から行政区とは別の自治区10カ所を設け、各区で住民組織の「地域協議会」を組織した。毎年度、各自治区内の課題や地域活性化につながる施策を協議会で検討し、予算案を作成して市に建議する。
 24年度計画案で鳳来東部地域自治区は、「地域の暮らしを守るための事業」の中に「飼い主のいない猫対策推進事業」を盛り込んだ。ほかにも「地域の安心安全を促すための事業」「地域の活性化を図るための事業」があり、たとえば「観光地混雑緩和事業(臨時駐車場の開設とシャトルバス運行費)」として278万5000円などを計上している。鳳来東部地域自治区予算総額は680万5000円。他の計画案とともに昨年10月30日に下江洋行市長に建議書を手渡した。
 市議によると、地域からの提案のため、施策と予算案については地元要望として尊重されるという。このため、議会でも原案通り認められるとみられる。
 自治区の関係者によると、地域猫活動事業費は、以前から市側が提案していたという。助成制度のある他の市町村のように、不妊・去勢手術費用を一部負担する内容になるとみられる。
 下江市長は取材に対し「まずは一歩を踏み出します。鳳来東部を皮切りに、必要としている地域で予算化していきたい」と話した。
 昨年12月に蒲郡市であった「地域猫セミナー2023」での配布資料によると、猫の不妊・去勢手術を何らかの形で助成しているのは県内54市町村のうち、41あった。未対応は東三河では新城市、田原市、東栄町など13だった。
 半田市や西尾市などは、「さくらねこ無料手術事業」として、「チケット」申請の手伝いをしている。公益財団法人「どうぶつ基金」(兵庫県芦屋市)に対し、野良猫の手術をするための無料不妊手術チケットの発行を手伝う内容。個人で申請するのはハードルが高く、行政が間に入って地域猫活動を推進する。ただ、チケットで手術をしてくれる獣医にも限りがあり、地方では難しい現状もある。
 今回の公費投入について、新城市で地域猫活動を続ける市民団体「地域猫サポーター猫球(ねこたま)」の青木琴美代表は「(新城市は)県内で助成制度が無い数少ない市の一つとなってしまいました。困っている方はたくさんいます。すぐにでも市内全域で利用できる助成制度ができることを期待しております」とコメントした。

 新城市の公費投入について、元大府市職員で地域猫活動アドバイザーの久野幸裕さんは「全市域が対象となっておらず、『助成制度ではない』と判断する。ただ市長が最初の一歩としているので、将来に期待したい」と評した。
 久野さんは「飼い主のいない猫の問題は地域が解決することが肝要だ。ボランティアの愛護活動だけでは続かない。地域猫セミナーでは、これが環境美化活動であり、地域活動でもあるという理解が広まった」と話した。
 新城市の次の施策が注目される。
【安藤聡、山田一晶】

ことば
地域猫
 特定の個人ではなく、その地域の住民が共同で飼育と管理をしている猫。。Trap(捕獲)▽Neuter(不妊・去勢手術)▽Return(元の場所に戻す)に加え、Management(トイレや餌の管理)までを含めて「TNRM」と呼ばれる。猫を元の場所に戻すのは、他の場所から手術をしていない野良猫が入り込まないようにするため。繁殖しないため、猫は自然に減っていく。

新城市の地域猫(提供)
新城市の地域猫(提供)
市民団体によって捕獲された猫(同)
市民団体によって捕獲された猫(同)
猫などの不妊・去勢手術に対する市町村の助成状況。久野さんの調査に基づく。緑は現金、黄はチケット
猫などの不妊・去勢手術に対する市町村の助成状況。久野さんの調査に基づく。緑は現金、黄はチケット

カテゴリー:政治・行政

 PR

PR