大石選手が東京マラソンでラストラン

　田原市を練習拠点としている「トヨタ自動車陸上競技部」所属の大石港与選手（35）が、３日に開催の「東京マラソン２０２４」でラストランを飾る。「持っている力を１００％を出し切ることを意識して、最後まで走り切りたい」と意気込む。
　静岡県富士市（旧富士川町）出身で、陸上を始めたのは小学４年。父と姉の影響で、広報紙で見つけた教室に参加し、競技の楽しさを知った。自分のペースで練習できることや教室の友達ができたことが大きかったという。中学では「得意な分野で日本一を目指す」と決めて、８００㍍や１５００㍍に挑んだ。
　高校では３０００㍍でインターハイ優勝を目指していたため、個人種目に力を入れている県立富士東高校に入学した。だが、「都大路で優勝したい」という３年生への「恩返し」の気持ちで駅伝を走った。これが転機となり、駅伝に力を入れるようになると、才能が一気に開花。東海高校駅伝は花の１区で区間賞を獲得した。箱根駅伝の強豪、中央大学に進学。５区で３回出場し、３年で区間３位を記録した。
　２０１１年のトヨタ入社後は、駅伝とトラック種目が主戦場。ニューイヤー駅伝で２度区間賞を獲得、15年から22年まで主将としてチームを支えた。28歳で日本陸上選手権１万㍍に出場し、自己ベストの27分48秒56をマーク。「27分台という目標を達成できた」と、28歳でフルマラソンへの挑戦を始めた。
　初マラソンの17年２月の「別府大分毎日マラソン」では２時間10分39秒。31歳で挑んだ20年３月の「東京マラソン」で２時間８分52秒を出している。
　20年12月の日本選手権決勝２組で17位だったことで、引退を考えるようになった。「力が落ちてきたと感じた」という。さらに、21年１月に練習のし過ぎで髄膜炎にかかって入院した。「走りたくても、若い頃のような練習ができなくなった。本当は世界と戦いたいのに、かなわなくなった」。昨年12月の日本選手権１万㍍は14位で、引退する決心がついた。
　今年のニューイヤー駅伝では１区で区間４位の快走。チームを８年ぶりの優勝に導いた。チームメートの田中秀幸選手は「今まで引っ張ってくれた先輩。楽しんで走ってほしい」とエールを送った。
　ラストレースに向けて大石選手は「トヨタのユニホームを着て走るのが最後。悔いのないレースにしたい」と語った。
【北川壱暉】