画期的な自社製「大型パネル」の家

イシハラが豊橋で初建設

　豊橋市下地町の住宅建材製造販売「イシハラ」は、自社製「大型パネル」を使った初の住宅を豊橋市内で建設している。中部地区で大型パネルを製造している唯一の会社だ。５日の工事を取材した。
　大型パネルは数年前に広まり始めた。現場作業だった断熱材やサッシの取り付けを、工場内で前倒ししてパネルにする。柱やはりなどの構造材や床と壁などの面材、防水シートも一体化する。屋内作業なので精度と品質が高い。

人件費削減や働き方改善に期待

　現場では、運ばれたパネルを組み立てるだけなので工期が大幅に短縮できる。最近は省エネで高い気密性を確保するため、サッシが重量化している。作業者は重いサッシや工具を何度も運ぶ負担から解放される。働き方改革の「２０２４年問題」は建設業も対象となっている。大型パネル導入は人件費の削減と労働環境の改善につながる。
　イシハラの石原教行社長によると、同社が明海地区の工場で大型パネルの製造を始めたのは昨年10月。すでに施工例が５件あるが、豊橋市内では初めてだ。
　同社は石巻工場でサイディング（外壁材）の「プレカット」をしている。原材料の事前切断、接合部の加工を指す。これまでは、建物ができてから改めて採寸する必要があった。だが大型パネルなら同時進行で外壁材が作れる。
　この日は雨模様で午前７時半に作業を始めた。家は２階建て延べ約１３０平方㍍。大きいもので幅３㍍以上のパネルをクレーンでつり下げ、所定の位置に次々と収めていく。２～３分で一つのパネルの作業を終える。パネルは約30枚。正午には２階まで組み上げられ、夕方までに屋根パネルを置いてこの日の作業は終了した。現場の加工作業が無いためごみもほとんど出ず、環境に優しい。最後は作業者が施錠して帰るのも新しい。
　施主と石原成哲会長が訪れたほか、業界関係者の視察もあった。石原会長は「在来工法の一種なので導入しやすい。当社だからこそ、豊橋産の材料で、豊橋市内でこんな工事ができることを広く伝えたい」と話した。
　石原社長は「職人や監督の拘束時間を短くできる。生産性を高めることで、人件費の高騰や人手不足に対応できる」と説明した。
【山田一晶】