文字の大きさ

いまだ高い健常者との壁

事故現場の横断歩道を案内する工藤さん=豊橋市向山町中畑で
事故現場の横断歩道を案内する工藤さん=豊橋市向山町中畑で

交通事故の視覚障害女性が病院や警察へ憤り

 豊橋市向山町中畑の押しボタン式信号交差点で2月24日、横断歩道を渡っていた目の不自由な女性が車と接触する事故があった。命に別状は無かったが、病院などで「合理的配慮」に欠けるような対応を受けたと訴える。4月1日、改正障害者差別解消法が施行される。話を聞いた。
 訴えているのは工藤わかばさん(57)。近所のアパートで一人暮らししている。
 先月24日午後5時半頃、現場の横断歩道を渡ろうとしていた。片側2車線ある。歩行者用信号のボタンを押した。
 この信号は音響式ではない。工藤さんは幼少期に薬害のスモン病にかかり、視力はほとんどないため、信号機が青になったかは見えない。車の流れが途切れ、前方で車が止まったので大丈夫だと思い、渡り始めた。
 だが、その車は横断歩道上に止まっていた右折車で、曲がるタイミングを待っていただけだった。白杖をつきながら近づいてきた工藤さんに気づかず発進し、フロント部分が腰に当たった。工藤さんは転倒し、膝を強く打った。助けを求め、救急車で搬送された。
 病院でレントゲン検査などを受けた。一人暮らしで夜間に痛みがひどくなることを心配し、当直医に入院できないかと尋ねたが、強い口調で断られたという。理由の説明はなかった。やむを得ず、自分でホテルを探し、一泊した。
 週明け、その病院で診断を受けようとした。待ち時間が長く、痛みもあって気分が悪くなり、座っていられなくなった。ベッドがないかと看護師に聞いたが、対応してもらえなかった。診断結果についても詳しく教えてもらえなかった。話し合いが長引いたので工藤さんが警察を呼んだが、署員は病院側の言うなりになっていたと感じた。また、しきりと帰るように強く促されたという。
 工藤さんは「とにかく説明が不足している。納得させてくれれば、こんなトラブルにはならない」と訴えた。
 愛知大学文学部の土屋葉教授(障害学)は「歩行者用信号など物理的に改善できる点もあるとはいえ、周囲の人間の意識改革が必要ではないか」と話している。
【山田一晶】

交通事故の視覚障害女性が病院や警察へ憤り

 豊橋市向山町中畑の押しボタン式信号交差点で2月24日、横断歩道を渡っていた目の不自由な女性が車と接触する事故があった。命に別状は無かったが、病院などで「合理的配慮」に欠けるような対応を受けたと訴える。4月1日、改正障害者差別解消法が施行される。話を聞いた。
 訴えているのは工藤わかばさん(57)。近所のアパートで一人暮らししている。
 先月24日午後5時半頃、現場の横断歩道を渡ろうとしていた。片側2車線ある。歩行者用信号のボタンを押した。
 この信号は音響式ではない。工藤さんは幼少期に薬害のスモン病にかかり、視力はほとんどないため、信号機が青になったかは見えない。車の流れが途切れ、前方で車が止まったので大丈夫だと思い、渡り始めた。
 だが、その車は横断歩道上に止まっていた右折車で、曲がるタイミングを待っていただけだった。白杖をつきながら近づいてきた工藤さんに気づかず発進し、フロント部分が腰に当たった。工藤さんは転倒し、膝を強く打った。助けを求め、救急車で搬送された。
 病院でレントゲン検査などを受けた。一人暮らしで夜間に痛みがひどくなることを心配し、当直医に入院できないかと尋ねたが、強い口調で断られたという。理由の説明はなかった。やむを得ず、自分でホテルを探し、一泊した。
 週明け、その病院で診断を受けようとした。待ち時間が長く、痛みもあって気分が悪くなり、座っていられなくなった。ベッドがないかと看護師に聞いたが、対応してもらえなかった。診断結果についても詳しく教えてもらえなかった。話し合いが長引いたので工藤さんが警察を呼んだが、署員は病院側の言うなりになっていたと感じた。また、しきりと帰るように強く促されたという。
 工藤さんは「とにかく説明が不足している。納得させてくれれば、こんなトラブルにはならない」と訴えた。
 愛知大学文学部の土屋葉教授(障害学)は「歩行者用信号など物理的に改善できる点もあるとはいえ、周囲の人間の意識改革が必要ではないか」と話している。
【山田一晶】

事故現場の横断歩道を案内する工藤さん=豊橋市向山町中畑で
事故現場の横断歩道を案内する工藤さん=豊橋市向山町中畑で

カテゴリー:社会・経済

 PR

PR