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女性障害者が生きづらい現代社会

編著者の土屋教授=豊橋市内で
編著者の土屋教授=豊橋市内で

土屋愛大教授も編著者、48人の声を一冊に

 愛知大学文学部の土屋葉教授が編著者となった「障害があり女性であること」(現代書館)がこのほど出版された。今月1日から改正障害者差別解消法が施行され、民間企業にも「合理的配慮」が求められるようになった。より差別を受けやすい人たちの証言から、社会構造を描き出している。
 副題は「生活史からみる生きづらさ」。土屋教授のほか、各地の研究者や実務の当事者8人が執筆した。3部構成で全10章。ほかに土屋教授のコラムと執筆者の座談会が収録されている。
 障害のある女性48人の生活史を取り上げる。女性たちを生きづらくさせている社会構造や差別について、深く考察している。
 土屋教授は導入で「障害者について論じられるときは、たいてい障害者男性に、女性について論じられるときには、たいてい健常者女性にスポットライトが当てられる」と書いた。性差別のせいで女性の声がかき消され、女性について論じられるときには障害者差別のせいで障害女性の声がかき消されるという状況を指す。本著は、さまざまな試みがありながらいまだ途上にある「障害のある女性が受ける差別」を明らかにしようとする。
 聴き取りでは、学校、職場、施設、家庭、医療機関などで48人が味わった「困難」を浮かび上がらせた。女性側は明確に差別と言い切る人もいれば「思い返せば嫌だったかもしれない」とあいまいに語る人もいたという。何度も深堀りすることで当事者が「しょうがないこと」と諦めていた経験を聴き取っている。
 土屋教授は視覚障害者で50代の甲斐さん(仮名)を取材している。幼少期の「保母か小学校の先生」という夢を早くに諦めさせられ、経済的自立のため進学先や職業も固定されている現実がある。さらにマッサージ師として、病院の患者として受けたセクハラ被害なども浮き彫りにした。
 320㌻、税込み2750円。大手書店や通販サイトで。
【山田一晶】

土屋愛大教授も編著者、48人の声を一冊に

 愛知大学文学部の土屋葉教授が編著者となった「障害があり女性であること」(現代書館)がこのほど出版された。今月1日から改正障害者差別解消法が施行され、民間企業にも「合理的配慮」が求められるようになった。より差別を受けやすい人たちの証言から、社会構造を描き出している。
 副題は「生活史からみる生きづらさ」。土屋教授のほか、各地の研究者や実務の当事者8人が執筆した。3部構成で全10章。ほかに土屋教授のコラムと執筆者の座談会が収録されている。
 障害のある女性48人の生活史を取り上げる。女性たちを生きづらくさせている社会構造や差別について、深く考察している。
 土屋教授は導入で「障害者について論じられるときは、たいてい障害者男性に、女性について論じられるときには、たいてい健常者女性にスポットライトが当てられる」と書いた。性差別のせいで女性の声がかき消され、女性について論じられるときには障害者差別のせいで障害女性の声がかき消されるという状況を指す。本著は、さまざまな試みがありながらいまだ途上にある「障害のある女性が受ける差別」を明らかにしようとする。
 聴き取りでは、学校、職場、施設、家庭、医療機関などで48人が味わった「困難」を浮かび上がらせた。女性側は明確に差別と言い切る人もいれば「思い返せば嫌だったかもしれない」とあいまいに語る人もいたという。何度も深堀りすることで当事者が「しょうがないこと」と諦めていた経験を聴き取っている。
 土屋教授は視覚障害者で50代の甲斐さん(仮名)を取材している。幼少期の「保母か小学校の先生」という夢を早くに諦めさせられ、経済的自立のため進学先や職業も固定されている現実がある。さらにマッサージ師として、病院の患者として受けたセクハラ被害なども浮き彫りにした。
 320㌻、税込み2750円。大手書店や通販サイトで。
【山田一晶】

編著者の土屋教授=豊橋市内で
編著者の土屋教授=豊橋市内で

カテゴリー:社会・経済

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