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児童養護施設で学習支援 愛大生の団体「スマイル」

計算問題を解く子どもにアドバイスする近藤さん=豊橋若草育成園で
計算問題を解く子どもにアドバイスする近藤さん=豊橋若草育成園で

 愛知大学豊橋校舎の学生グループ「SMILE(スマイル)」が、豊橋市高師町の児童養護施設「豊橋若草育成園」で学習支援のボランティアを続けている。大学生らが夜、施設を訪れて2年近く。つまずきやすい学習面をサポートすることで、自分に自信をつける子も出てきた。

 「苦手な九九の問題を作ってきたよ」。学生の掛け声に、嫌そうなそぶりを見せつつも、子どもたちの顔は笑顔だ。この日集まったのは、小学1~3年生の4人。学生2人が、学校の宿題や苦手とする教科のレベルに合わせ、ときにはその場で問題を作る。
 先生役を務めたあとは毎回、日報に子どもたちの様子を記す。学生と施設の連携を強め、よりきめ細かい支援につなげるためだ。
 同育成園は2~18歳の子ども55人が、虐待や経済的な理由などで家族と離れて暮らす。スマイルは2014(平成26)年から、子どもたちと遊びを通じた交流をしてきたが、園から多忙な職員に代わり、「勉強が苦手な子が多いので、ぜひ教えてほしい」と依頼され、16年12月から週1~2回、学生たちが園に通う。
 当初、子どもたちは漢字の書き取りを黙々とこなし、会話なく学習時間を終えることが続いた。「帰り道、心が折れそうになりました」と、副代表の戸松美里さん(20)=地域政策学部3年=は笑いながら振り返る。
 施設にはさまざまな境遇の中で、人との関わりを苦手としている子もいる。学生たちはじっくりと信頼関係を築くことを目標に、最後を漢字の小テストにすることでやる気を引き出したり、学校の話題で会話の糸口を探すなどして、交流を続けた。半年が経った頃、ようやく質問が出始め、今では、学生たちとの時間を心待ちにする子もいる。
 学生側も期待に応えるように、塾でアルバイトするメンバーから指導方法を学んだり、小・中学生用の教材を数多く取りそろえたりして、支援の質も高める。 
 鈴木隆朗副施設長(48)は「つまずく子が多い学習面をサポートしてもらうことで、自分に自信が持てない子を支えてもらっている。本当にありがたい。子どもたちにとって、大学生との交流は社会性を学ぶ機会にもなっている」と話す。
 スマイル代表の三年・近藤志帆さん(21)=同=は「勉強の時間が嫌いじゃないと思えるよう一緒に学び、いざというとき、悩みが話せるような存在になりたい」と意気込む。
 一方で、さらなる支援の必要性も感じている。施設には他にも学習ボランティアが訪れるが、経済的な理由や学習環境のハンディキャップを抱える子どもたちにとって、自分の夢を描き、実現させることに大きなハードルがある。戸松さんは「どうしてもやりたいことを諦めている部分があると思う。高校を出て終わりではなく、もっと上を目指せる仕組みをつくってほしい」とさらなる支援の広がりを願う。
(飯塚雪)

 愛知大学豊橋校舎の学生グループ「SMILE(スマイル)」が、豊橋市高師町の児童養護施設「豊橋若草育成園」で学習支援のボランティアを続けている。大学生らが夜、施設を訪れて2年近く。つまずきやすい学習面をサポートすることで、自分に自信をつける子も出てきた。

 「苦手な九九の問題を作ってきたよ」。学生の掛け声に、嫌そうなそぶりを見せつつも、子どもたちの顔は笑顔だ。この日集まったのは、小学1~3年生の4人。学生2人が、学校の宿題や苦手とする教科のレベルに合わせ、ときにはその場で問題を作る。
 先生役を務めたあとは毎回、日報に子どもたちの様子を記す。学生と施設の連携を強め、よりきめ細かい支援につなげるためだ。
 同育成園は2~18歳の子ども55人が、虐待や経済的な理由などで家族と離れて暮らす。スマイルは2014(平成26)年から、子どもたちと遊びを通じた交流をしてきたが、園から多忙な職員に代わり、「勉強が苦手な子が多いので、ぜひ教えてほしい」と依頼され、16年12月から週1~2回、学生たちが園に通う。
 当初、子どもたちは漢字の書き取りを黙々とこなし、会話なく学習時間を終えることが続いた。「帰り道、心が折れそうになりました」と、副代表の戸松美里さん(20)=地域政策学部3年=は笑いながら振り返る。
 施設にはさまざまな境遇の中で、人との関わりを苦手としている子もいる。学生たちはじっくりと信頼関係を築くことを目標に、最後を漢字の小テストにすることでやる気を引き出したり、学校の話題で会話の糸口を探すなどして、交流を続けた。半年が経った頃、ようやく質問が出始め、今では、学生たちとの時間を心待ちにする子もいる。
 学生側も期待に応えるように、塾でアルバイトするメンバーから指導方法を学んだり、小・中学生用の教材を数多く取りそろえたりして、支援の質も高める。 
 鈴木隆朗副施設長(48)は「つまずく子が多い学習面をサポートしてもらうことで、自分に自信が持てない子を支えてもらっている。本当にありがたい。子どもたちにとって、大学生との交流は社会性を学ぶ機会にもなっている」と話す。
 スマイル代表の三年・近藤志帆さん(21)=同=は「勉強の時間が嫌いじゃないと思えるよう一緒に学び、いざというとき、悩みが話せるような存在になりたい」と意気込む。
 一方で、さらなる支援の必要性も感じている。施設には他にも学習ボランティアが訪れるが、経済的な理由や学習環境のハンディキャップを抱える子どもたちにとって、自分の夢を描き、実現させることに大きなハードルがある。戸松さんは「どうしてもやりたいことを諦めている部分があると思う。高校を出て終わりではなく、もっと上を目指せる仕組みをつくってほしい」とさらなる支援の広がりを願う。
(飯塚雪)

計算問題を解く子どもにアドバイスする近藤さん=豊橋若草育成園で
計算問題を解く子どもにアドバイスする近藤さん=豊橋若草育成園で

カテゴリー:社会・経済

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