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大村町の浸水被害 豊橋市が賠償

謝罪する山本建設部長(右から2人目)と河川課職員=豊橋市役所で
謝罪する山本建設部長(右から2人目)と河川課職員=豊橋市役所で

 豊橋市大村町で10月1日、台風24号に伴い豊川(とよがわ)が増水、樋管(ひかん)を閉鎖していなかったため浸水被害が発生した。同市は30日、扉の開閉指示などに過失があったとして、床下浸水などの被害に対し賠償する方針を明らかにした。賠償額は今後、被災者に聞き取り調査を実施した上で確定する。
 樋門や樋管は、生活排水や雨水を堤防の中を通して、河川に流すため堤防に設置される施設。平常時は扉が開いていて、雨水などを川に流す。川の水位が高くなると、川の水が住宅側に流れ込んできて、浸水の恐れがあるため扉を閉める。
 今回、問題となったのは大村町の「小見堂(こみどう)樋管」。扉の開閉操作を市が大村校区自治会に委託している。
 市によると、台風24号が接近していた9月30日午後8時40分ごろ、この樋管より下流にある大村樋門の操作小屋に大村校区自治会の3人と一緒にいた隣接する下地校区自治会の1人が「暴風で常駐が危険なため門を閉めて引き上げた」と市河川課の職員に電話した。
 この際、職員は「これまで同様に、大村樋門と共に小見堂樋管も閉めて引き上げたと思い込んだ」と言い、小見堂の状態を確認しなかった。
 大村樋門の閉鎖は、常駐の4人が相談して決定。常駐が不要の段階だった小見堂樋管は当時、無人で、扉は開いたままの状態たった。
 午後10時半ごろには、国交省豊橋河川事務所から「豊川放水路のゲート開放を24時20分に予定している」との連絡を受け、同じ市の職員が予定時刻を下地校区自治会に電話で伝えたが、大村校区自治会には連絡しなかったため、小見堂樋管は開いたままになっており、浸水被害を引き起こした。
 大村校区自治会に対し、市職員は「連絡した。メモに残した」と言っていたが、調査の結果、電話の履歴がなかった。
 また夕方の午後6時27分、市職員は両自治会に大村樋門の操作小屋への常駐と豊川放水路のゲート開放予定時間を電話で伝えたが、大村校区自治会は「開放予定時間は聞いていない」と言っているという。
 浸水により、被害は10月4日の時点で床下浸水6件(住宅4と工場1、倉庫1)、車両水没11台、溶接機1台、エアコン室外機1台などが確認されている。10月1日午後2時に一帯の排水作業が終わった。
 市は「これまで豊川放水路のゲート開放時間を告げることで、扉の閉鎖とみなしていた。委託契約では、市が指示を出すことになっており、自治会の責任は追及できない」とし、所管の山本晋建設部長は「大村町の皆さんに心労をお掛けし、心よりおわび申し上げます。誠心誠意、浸水被害防止に努めます」と謝罪した。
 今後は、連絡を確実にするためチェック表も使い、自治会の2人に必ず連絡するなど情報伝達体制を強化する。
(中村晋也)

 豊橋市大村町で10月1日、台風24号に伴い豊川(とよがわ)が増水、樋管(ひかん)を閉鎖していなかったため浸水被害が発生した。同市は30日、扉の開閉指示などに過失があったとして、床下浸水などの被害に対し賠償する方針を明らかにした。賠償額は今後、被災者に聞き取り調査を実施した上で確定する。
 樋門や樋管は、生活排水や雨水を堤防の中を通して、河川に流すため堤防に設置される施設。平常時は扉が開いていて、雨水などを川に流す。川の水位が高くなると、川の水が住宅側に流れ込んできて、浸水の恐れがあるため扉を閉める。
 今回、問題となったのは大村町の「小見堂(こみどう)樋管」。扉の開閉操作を市が大村校区自治会に委託している。
 市によると、台風24号が接近していた9月30日午後8時40分ごろ、この樋管より下流にある大村樋門の操作小屋に大村校区自治会の3人と一緒にいた隣接する下地校区自治会の1人が「暴風で常駐が危険なため門を閉めて引き上げた」と市河川課の職員に電話した。
 この際、職員は「これまで同様に、大村樋門と共に小見堂樋管も閉めて引き上げたと思い込んだ」と言い、小見堂の状態を確認しなかった。
 大村樋門の閉鎖は、常駐の4人が相談して決定。常駐が不要の段階だった小見堂樋管は当時、無人で、扉は開いたままの状態たった。
 午後10時半ごろには、国交省豊橋河川事務所から「豊川放水路のゲート開放を24時20分に予定している」との連絡を受け、同じ市の職員が予定時刻を下地校区自治会に電話で伝えたが、大村校区自治会には連絡しなかったため、小見堂樋管は開いたままになっており、浸水被害を引き起こした。
 大村校区自治会に対し、市職員は「連絡した。メモに残した」と言っていたが、調査の結果、電話の履歴がなかった。
 また夕方の午後6時27分、市職員は両自治会に大村樋門の操作小屋への常駐と豊川放水路のゲート開放予定時間を電話で伝えたが、大村校区自治会は「開放予定時間は聞いていない」と言っているという。
 浸水により、被害は10月4日の時点で床下浸水6件(住宅4と工場1、倉庫1)、車両水没11台、溶接機1台、エアコン室外機1台などが確認されている。10月1日午後2時に一帯の排水作業が終わった。
 市は「これまで豊川放水路のゲート開放時間を告げることで、扉の閉鎖とみなしていた。委託契約では、市が指示を出すことになっており、自治会の責任は追及できない」とし、所管の山本晋建設部長は「大村町の皆さんに心労をお掛けし、心よりおわび申し上げます。誠心誠意、浸水被害防止に努めます」と謝罪した。
 今後は、連絡を確実にするためチェック表も使い、自治会の2人に必ず連絡するなど情報伝達体制を強化する。
(中村晋也)

謝罪する山本建設部長(右から2人目)と河川課職員=豊橋市役所で
謝罪する山本建設部長(右から2人目)と河川課職員=豊橋市役所で

カテゴリー:社会・経済 / 政治・行政

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