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高校野球愛知大会 決勝 桜丘

カテゴリー:スポーツ / 特集

銀メダルを胸に閉会式に臨む桜丘ナイン=岡崎市民球場で
銀メダルを胸に閉会式に臨む桜丘ナイン=岡崎市民球場で
多彩な変化球を武器に力投した吉見㊧=同
多彩な変化球を武器に力投した吉見㊧=同

準優勝の結果残した最弱からの成長

 令和初の夏の高校野球愛知大会は、東三河のファンを熱狂させた。桜丘は決勝で1-8で誉に敗れ甲子園出場こそ果たせなかったが、創部37年目で初の準優勝という成績を収めた。秋からの公式戦へ期待できる戦いぶりを見せた。
 準決勝まで壮絶な逆転劇を演じてきた打線は陰りを見せた。初回、杉浦が死球で出塁も、森が遊ゴロ併殺打。5点差をつけられた5回、岡本が遊撃への内野安打で出るも、吉見が併殺打コースの遊ゴロに倒れ、前日サヨナラ打の伊藤大も三振。6回には藤野翔多三塁手(2年)、主将・藤代実成中堅手(3年)の連打などで無死満塁と絶好のチャンスをつかむも、近藤の遊ゴロ併殺打の間に1点を返すのが精いっぱい。8回にも杉浦が三ゴロ併殺打に倒れ、このまま終戦を迎えた。
 藤代は「勝っても負けても愛知では最後。ベストを出すことだけに集中して、とにかく9回まで楽しもうと思って試合に臨んだ」と振り返った。昨秋、杉澤哲監督から「史上最弱」の烙印を押されたチームが、歴史を塗り替える準優勝の成績を挙げ、輝く銀メダルを胸に、堂々とした表情で閉会式に臨んだ。「桜丘史上最弱チームが最強になることができた」と言う藤代は「甲子園に行けなかったので満足はできないけど、監督を少しは見返せたと思う」とも話した。
 この日出場した藤野、杉浦、森ら2年生が中心となり、来春の選抜甲子園につながる秋からの戦いに挑むことになる。杉澤監督も「3年生が中心となり、次につながるものを残してくれた。この決勝の舞台に立たないと分からないものがある」と新チームに期待した。
 8回、気迫のヘッドスライディングによる一塁内野安打で出塁した藤野は「今までよりも練習して、もう一度この舞台に戻ってきたい。次は勝てる力を身に着けたい」と誓った。

応援席も熱く

 桜丘側の三塁側スタンドには父母や生徒らが駆け付け、ピンク色のメガホンを揺らした。チアリーダー部主将の野田文乃さん(3年)は「決勝まで連れてきてくれてこの代のチア部でよかった。選手にありがとうと言いたい。これからも一生、桜丘の応援団です」と笑顔で話した。
(由本裕貴・木村裕貴)

▽決勝

 誉
100220030|8

桜丘
000001000|1

(誉)杉本、山口-林山

(桜)堀尾、吉見、掘尾-伊藤大

(岡崎市民球場)

全芯全霊 桜丘・吉見投手
ピンチは俺に任せろ

 「俺が抑えてやる」―。そう自分を鼓舞し、4回2死一、三塁のピンチでマウンドへと向かうのは吉見拓真投手(3年)。相手の4番打者へ右サイドから投じた6球目、遊ゴロに打ち取ってピンチを切り抜けた。
 今冬に上手投げからサイドスローへ転向した。冬の練習では1日300球の投げ込みと2週間で100㌔を走破する走り込みで体力、精神力共に磨きをかけた。そのかいあって、冬の寒さに耐え抜いたサクラのように才能を開花させた。身長165㌢と小柄な体格ながら、今大会は気迫のこもった投球で幾度もチームの危機を救った。
 決勝では誉の強力打線を抑えきれず、4回3分の1を投げて被安打7、自責点4。最後の夏ははかなく散った。それでも7回の打席で死球を頭部に受けるアクシデントに見舞われながら、気合でグラウンドに立ち続けた。「桜丘史上最弱と言われてきた自分たちがここまで来れた。悔いはありません」と振り返り「後輩には、自分たちみたいにあきらめず、最後まで声を出し続けて戦ってほしい」と期待した。
 卒業後は東海理化で社会人野球に挑戦する。「やっぱり野球が好きですから」と笑顔で語った。潔く散ったサクラはまた来春、新たな大輪の花を咲かす。
(木村裕貴)

準優勝の結果残した最弱からの成長

 令和初の夏の高校野球愛知大会は、東三河のファンを熱狂させた。桜丘は決勝で1-8で誉に敗れ甲子園出場こそ果たせなかったが、創部37年目で初の準優勝という成績を収めた。秋からの公式戦へ期待できる戦いぶりを見せた。
 準決勝まで壮絶な逆転劇を演じてきた打線は陰りを見せた。初回、杉浦が死球で出塁も、森が遊ゴロ併殺打。5点差をつけられた5回、岡本が遊撃への内野安打で出るも、吉見が併殺打コースの遊ゴロに倒れ、前日サヨナラ打の伊藤大も三振。6回には藤野翔多三塁手(2年)、主将・藤代実成中堅手(3年)の連打などで無死満塁と絶好のチャンスをつかむも、近藤の遊ゴロ併殺打の間に1点を返すのが精いっぱい。8回にも杉浦が三ゴロ併殺打に倒れ、このまま終戦を迎えた。
 藤代は「勝っても負けても愛知では最後。ベストを出すことだけに集中して、とにかく9回まで楽しもうと思って試合に臨んだ」と振り返った。昨秋、杉澤哲監督から「史上最弱」の烙印を押されたチームが、歴史を塗り替える準優勝の成績を挙げ、輝く銀メダルを胸に、堂々とした表情で閉会式に臨んだ。「桜丘史上最弱チームが最強になることができた」と言う藤代は「甲子園に行けなかったので満足はできないけど、監督を少しは見返せたと思う」とも話した。
 この日出場した藤野、杉浦、森ら2年生が中心となり、来春の選抜甲子園につながる秋からの戦いに挑むことになる。杉澤監督も「3年生が中心となり、次につながるものを残してくれた。この決勝の舞台に立たないと分からないものがある」と新チームに期待した。
 8回、気迫のヘッドスライディングによる一塁内野安打で出塁した藤野は「今までよりも練習して、もう一度この舞台に戻ってきたい。次は勝てる力を身に着けたい」と誓った。

応援席も熱く

 桜丘側の三塁側スタンドには父母や生徒らが駆け付け、ピンク色のメガホンを揺らした。チアリーダー部主将の野田文乃さん(3年)は「決勝まで連れてきてくれてこの代のチア部でよかった。選手にありがとうと言いたい。これからも一生、桜丘の応援団です」と笑顔で話した。
(由本裕貴・木村裕貴)

▽決勝

 誉
100220030|8

桜丘
000001000|1

(誉)杉本、山口-林山

(桜)堀尾、吉見、掘尾-伊藤大

(岡崎市民球場)

全芯全霊 桜丘・吉見投手
ピンチは俺に任せろ

 「俺が抑えてやる」―。そう自分を鼓舞し、4回2死一、三塁のピンチでマウンドへと向かうのは吉見拓真投手(3年)。相手の4番打者へ右サイドから投じた6球目、遊ゴロに打ち取ってピンチを切り抜けた。
 今冬に上手投げからサイドスローへ転向した。冬の練習では1日300球の投げ込みと2週間で100㌔を走破する走り込みで体力、精神力共に磨きをかけた。そのかいあって、冬の寒さに耐え抜いたサクラのように才能を開花させた。身長165㌢と小柄な体格ながら、今大会は気迫のこもった投球で幾度もチームの危機を救った。
 決勝では誉の強力打線を抑えきれず、4回3分の1を投げて被安打7、自責点4。最後の夏ははかなく散った。それでも7回の打席で死球を頭部に受けるアクシデントに見舞われながら、気合でグラウンドに立ち続けた。「桜丘史上最弱と言われてきた自分たちがここまで来れた。悔いはありません」と振り返り「後輩には、自分たちみたいにあきらめず、最後まで声を出し続けて戦ってほしい」と期待した。
 卒業後は東海理化で社会人野球に挑戦する。「やっぱり野球が好きですから」と笑顔で語った。潔く散ったサクラはまた来春、新たな大輪の花を咲かす。
(木村裕貴)

銀メダルを胸に閉会式に臨む桜丘ナイン=岡崎市民球場で
銀メダルを胸に閉会式に臨む桜丘ナイン=岡崎市民球場で
多彩な変化球を武器に力投した吉見㊧=同
多彩な変化球を武器に力投した吉見㊧=同

カテゴリー:スポーツ / 特集

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