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どうなる?「ほの国百貨店」

「豊橋のデパートの灯を消してはいけない」と話す冨田会長=豊橋市内で
「豊橋のデパートの灯を消してはいけない」と話す冨田会長=豊橋市内で

 来年3月で閉店する豊橋市駅前大通の「ほの国百貨店」(林恭吾社長)。豊橋からデパートが消える? 閉店後はあの土地、あのビルはどうなる? 市民の関心は大きい。豊橋の商業に与える影響も大きい。
      
 3人の地権者に来年3月15日限りでの閉店が伝えられたのは10月初めのことだった。
 3人は「ほの国」に「今後のことで相談があります」と招かれた。「どこが(百貨店を)買ってくれることになったのだろうか」。3人は期待して出かけた。
 3人のうちの1人、老舗呉服店「紅屋」の冨田宗一会長(83)が言う。
 「ところが話が始まったら、今回の閉店話じゃないですか」。百貨店側が正式発表するわずか半月余前だ。「こんな非常識な話があるのだろうか。本来なら、まず地主に相談するのが筋なのではないか」
 そう怒りをあらわにした。
 ほの国には自社店舗も構えている。「約20人の社員には(正式発表後に)閉店を伝えた。つらかった」とも。テナントとしては当然だろう。
 関係者の中には、閉店に伴って連鎖倒産する会社も少なくないのでは、と予想する声も聞かれる。
 従業員の再就職が課題だが、従業員の中には「スーパーへの転職は嫌」との声もあるという。豊橋駅前という現在の職場の立地のよさ。豊橋唯一のデパートに勤務するという矜持もあるようだ。

「百貨店の灯は消さない」

 冨田さんはかつて豊橋広小路発展会の役員として、「豊橋を良くするために」と駅前に地下道を作った。これに次いで、現在改築中の旧・名豊ビルなどと合わせて中心商業地区に回遊性を持たせるために百貨店の老舗・丸栄の誘致に奔走した。
 「ほの国のビルは(老朽化していると言っても)改修すれば、まだ使用できる。3~5年我慢して努力すれば先が見えてくる。問題はいかに良い人材を引っ張って来るか。できれば地元豊橋の優良企業にオーナーとして買い取ってもらい、立て直してほしい。(そうしたことを)考えなくてはならない時期にきている。成功すれば豊橋は、豊橋の商業界は日本一有名になりますよ」
 「彼ら(現在のほの国側)には買い取ってくれる相手を探す力はないだろう。だからわれわれ3人から土地を買い取り、その上で補助金を得て、ビルを解体し、そして商店を1~2階に、その上をマンションにしようとしているのではないのか」。そんな予測もしてしまう。
 冨田さんは「土地を売るつもりはない。豊橋に百貨店の灯を消してはいけない。豊橋を一番にするために私は戦う覚悟だ」。かつて丸栄を誘致した時のように再び走り始めようとしている。
(木村裕貴)

 来年3月で閉店する豊橋市駅前大通の「ほの国百貨店」(林恭吾社長)。豊橋からデパートが消える? 閉店後はあの土地、あのビルはどうなる? 市民の関心は大きい。豊橋の商業に与える影響も大きい。
      
 3人の地権者に来年3月15日限りでの閉店が伝えられたのは10月初めのことだった。
 3人は「ほの国」に「今後のことで相談があります」と招かれた。「どこが(百貨店を)買ってくれることになったのだろうか」。3人は期待して出かけた。
 3人のうちの1人、老舗呉服店「紅屋」の冨田宗一会長(83)が言う。
 「ところが話が始まったら、今回の閉店話じゃないですか」。百貨店側が正式発表するわずか半月余前だ。「こんな非常識な話があるのだろうか。本来なら、まず地主に相談するのが筋なのではないか」
 そう怒りをあらわにした。
 ほの国には自社店舗も構えている。「約20人の社員には(正式発表後に)閉店を伝えた。つらかった」とも。テナントとしては当然だろう。
 関係者の中には、閉店に伴って連鎖倒産する会社も少なくないのでは、と予想する声も聞かれる。
 従業員の再就職が課題だが、従業員の中には「スーパーへの転職は嫌」との声もあるという。豊橋駅前という現在の職場の立地のよさ。豊橋唯一のデパートに勤務するという矜持もあるようだ。

「百貨店の灯は消さない」

 冨田さんはかつて豊橋広小路発展会の役員として、「豊橋を良くするために」と駅前に地下道を作った。これに次いで、現在改築中の旧・名豊ビルなどと合わせて中心商業地区に回遊性を持たせるために百貨店の老舗・丸栄の誘致に奔走した。
 「ほの国のビルは(老朽化していると言っても)改修すれば、まだ使用できる。3~5年我慢して努力すれば先が見えてくる。問題はいかに良い人材を引っ張って来るか。できれば地元豊橋の優良企業にオーナーとして買い取ってもらい、立て直してほしい。(そうしたことを)考えなくてはならない時期にきている。成功すれば豊橋は、豊橋の商業界は日本一有名になりますよ」
 「彼ら(現在のほの国側)には買い取ってくれる相手を探す力はないだろう。だからわれわれ3人から土地を買い取り、その上で補助金を得て、ビルを解体し、そして商店を1~2階に、その上をマンションにしようとしているのではないのか」。そんな予測もしてしまう。
 冨田さんは「土地を売るつもりはない。豊橋に百貨店の灯を消してはいけない。豊橋を一番にするために私は戦う覚悟だ」。かつて丸栄を誘致した時のように再び走り始めようとしている。
(木村裕貴)

「豊橋のデパートの灯を消してはいけない」と話す冨田会長=豊橋市内で
「豊橋のデパートの灯を消してはいけない」と話す冨田会長=豊橋市内で

カテゴリー:社会・経済

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