日本で働きたい外国人 本国で足止め

　新型コロナウイルスの影響による渡航制限で、日本で働くことを願う外国人が本国で待機を余儀なくされている。来日を前提にしていた人たちは、家業を手伝うなどして生活を維持しているが、経済的に厳しい状況に追い込まれている人もいる。また、国内で働く外国人の中には、解雇の危機に面している人もいるという。
　高度人材、特定技能などの制度を利用して海外の人材を国内企業に紹介している「ガイア国際センター」（豊橋市菰口町）によると、食品工場や介護施設で働く予定になっていた27人が、日本への渡航が禁止されている。インドネシアやベトナム人たちだ。
　待機しているのは20～30代の男女が中心。渡航禁止が解除された後に日本で働くことが前提になっているため、現地で正規に就業するのは難しい状態だ。そこで、多くが家業の農業などを手伝っている。収入が限られてしまうため、厳しい生活に追い込まれているという。
　楠田祐里社長によると、現在のところ、食品工場や介護施設は新型コロナウイルスの影響をほとんど受けていない。来日できればすぐに働ける状況だというが、待機している外国人からは、コロナが終息して来日できるようになるめどが立っていないため、不安の声が届いているという。
　一方、既に国内で働く外国人たちも、影響を受け始めている。旅館業など一部業種の経営環境が厳しい状況になっており、雇用の継続が危ぶまれる。
　同社を通して働いている中国人４人は県内の旅館に就労した。しかし、３月から旅館の経営に影響が出始めた。雇用調整で、今月はほとんど出勤できていない人もいるほどだという。現在のところ、通常よりは低いものの、給料は保証されているが、今後は解雇などの事態も懸念される。
　楠田社長は「現地で待機している皆さんは原則、無収入になっている。家業の手伝いだけでは生活が立ち行かなくなる。旅館業は訪日外国人だけでなく、国内旅行者も激減している。経営そのものが厳しくなっているところが多い」と懸念を示した。さらに「このままでは、日本で働く外国人を増やそうとする政府の目標も厳しくなる。今は早く終息することを願う」と話した。
（竹下貴信）