文字の大きさ

豊橋で「吉田塾」例会 バイアスの理解と活用を説明

豊川信用金庫事件のメカニズムを心理学的に説明する堀田教授=山本事務所で
豊川信用金庫事件のメカニズムを心理学的に説明する堀田教授=山本事務所で

 若手経営者らによる政治、経済、経営の勉強会「吉田塾」(塾長=山本明彦・元副金融担当相)は14日夜、豊橋市西松山町の山本事務所で第114回例会を開いた。講師は明治大の堀田秀吾教授(法言語学)で「バイアス」をテーマに人間の心理とマーケティングなどについて講演した。約30人が聴講した。
 バイアスは「偏見」「先入観」などと訳される心理学用語。堀田教授は取り調べのコミュニケーション、商標を中心とした知的財産法の研究も続けており、誰しも避けられないバイアスの理解と活用を唱えている。
 講演で堀田教授はまず「人はみな、違う色眼鏡をかけて物を見ている」と指摘した。そして「見え方が違うのだから、理解してもらえなくても、伝わらなくても当たり前」とコミュニケーションの難しさを説明した。
 そのうえで、相互理解の手段となる言語について、学問の立場から紹介した。まず、人は「無標」と呼ばれる普通なもの、標準的なものよりも「有標」である「逸脱」「際立ったこと」に注意を払う傾向がある。危険から身を守る「種の保存」「生の保持」のための本能だ。
 そして、コミュニケーションには「グライスの公理」(協調の原理)が働いており、「量」「質」「関連性」「様態」を適切に使うことが求められていると述べた。そこで、この公理から外れた有標な言語を織り込むことで、人の関心をひき、印象を変えられると指摘した。具体例として有名商品のキャッチコピーや、漫才の掛け合いの中の「ボケ」を挙げ「いずれも公理から外れているためにうける」と解説した。
 一方、バイアスが引き起こした例として豊川信用金庫事件を取り上げた。デマが拡散したメカニズムには、当局がいくらデマを否定しても「悪い話は広がってほしくないから否定するだろう」とする思い込み▽複数の人から同じ話を聞くと本当らしく思える「交差ネットワーク」▽自分の支持する情報のみに注目する「確証バイアス」▽「口コミ効果」-などが働いていたと分析。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での「インフルエンサー」「ステルスマーケティング」などとして、広告代理店などが活用していると報告した。
 会場からは「ゲイン-ロス効果」(相手が非好意的から好意的に変わった方が、終始好意的な場合よりも強い好意を持つ、という研究)の利用法や、子どもの教育への活用法など、積極的な質問が相次いだ。
【山田一晶】

 若手経営者らによる政治、経済、経営の勉強会「吉田塾」(塾長=山本明彦・元副金融担当相)は14日夜、豊橋市西松山町の山本事務所で第114回例会を開いた。講師は明治大の堀田秀吾教授(法言語学)で「バイアス」をテーマに人間の心理とマーケティングなどについて講演した。約30人が聴講した。
 バイアスは「偏見」「先入観」などと訳される心理学用語。堀田教授は取り調べのコミュニケーション、商標を中心とした知的財産法の研究も続けており、誰しも避けられないバイアスの理解と活用を唱えている。
 講演で堀田教授はまず「人はみな、違う色眼鏡をかけて物を見ている」と指摘した。そして「見え方が違うのだから、理解してもらえなくても、伝わらなくても当たり前」とコミュニケーションの難しさを説明した。
 そのうえで、相互理解の手段となる言語について、学問の立場から紹介した。まず、人は「無標」と呼ばれる普通なもの、標準的なものよりも「有標」である「逸脱」「際立ったこと」に注意を払う傾向がある。危険から身を守る「種の保存」「生の保持」のための本能だ。
 そして、コミュニケーションには「グライスの公理」(協調の原理)が働いており、「量」「質」「関連性」「様態」を適切に使うことが求められていると述べた。そこで、この公理から外れた有標な言語を織り込むことで、人の関心をひき、印象を変えられると指摘した。具体例として有名商品のキャッチコピーや、漫才の掛け合いの中の「ボケ」を挙げ「いずれも公理から外れているためにうける」と解説した。
 一方、バイアスが引き起こした例として豊川信用金庫事件を取り上げた。デマが拡散したメカニズムには、当局がいくらデマを否定しても「悪い話は広がってほしくないから否定するだろう」とする思い込み▽複数の人から同じ話を聞くと本当らしく思える「交差ネットワーク」▽自分の支持する情報のみに注目する「確証バイアス」▽「口コミ効果」-などが働いていたと分析。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での「インフルエンサー」「ステルスマーケティング」などとして、広告代理店などが活用していると報告した。
 会場からは「ゲイン-ロス効果」(相手が非好意的から好意的に変わった方が、終始好意的な場合よりも強い好意を持つ、という研究)の利用法や、子どもの教育への活用法など、積極的な質問が相次いだ。
【山田一晶】

豊川信用金庫事件のメカニズムを心理学的に説明する堀田教授=山本事務所で
豊川信用金庫事件のメカニズムを心理学的に説明する堀田教授=山本事務所で

カテゴリー:社会・経済

 PR

PR