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豊橋の企業がコンテナ活用した災害時用トイレ

「みんなのトイレ」を案内する柴田由紀社長
「みんなのトイレ」を案内する柴田由紀社長
上空から見たトイレと給排水のユニット。上部が太陽光パネル(提供)
上空から見たトイレと給排水のユニット。上部が太陽光パネル(提供)
多機能型のトイレ内部は清潔感にあふれている
多機能型のトイレ内部は清潔感にあふれている

 9月1日は防災の日。豊橋市神野新田町のベンチャー「TAMBAH(タンバー)」(柴田由紀社長)が、災害時に使用する多目的トイレの製造販売に乗り出した。輸送用コンテナにトイレのキットを詰め込み、どこへでも運搬してそのまま設置できる。避難所で未だに解決されないトイレ問題に一石を投じるか。
 市販の20フィートコンテナを改造する。側面には補強の鉄材を使い、強度を高めてあるほか、内壁に断熱材を吹き付けてあるため室温変化が少ない。
 内部には、身障者が車椅子でも使えるトイレ、ベビーチェア、ベビーベッド、オストメイト(人工肛門)対応トイレなどが備え付けられた部屋が2室入っている。光触媒を使った抗ウイルス機能のある壁を採用した。さらにエアコンも設置され、熱中症対策も施されている。中に入るとトイレ展示場のような雰囲気だ。入り口に簡易スロープを取り付けることで、車椅子での出入りも自由になる。
 コンテナ上部に設置した太陽光パネルで給電しているため、外部電源は不要。うたい文句は「オフグリッド(独立電源)」。水道が不通になっている場所では、もう1基の給排水ユニットコンテナを併設すれば、タンクに3・6㌧の水を貯水できるうえ、合併処理浄化槽で汚水などを浄化できる。ライフラインが寸断した被災地でも活躍する完全な自給自足トイレなのだ。
 コンテナ輸送車で運べるように、太陽光パネルやダクトなど、出っ張りになる部分はコンテナ内に収容できるスペースを設けている。いざとなれば自衛隊ヘリで道路が寸断された被災地に運んでもらうことも可能だ。
 柴田正吾専務によると、着想を得たのは昨年9月頃。障害者や高齢者が避難場所で使えるトイレがないことに気づいたことからだった。体育館などの避難場所のトイレは断水が起きると悲惨な状況になる。工事現場などの簡易トイレは不衛生だし、臭気もある。また、体が不自由な人が使えない。
 そこで、感染症対策も施し、誰もが快適に使えるトイレユニットを、運びやすいコンテナに詰め込むシステムを考えた。名付けて「みんなのトイレ」。3月に法人化し、このほどモデルユニットが完成した。実用新案登録も済ませた。
 柴田専務と山本智之本部長は「自治体に1セットずつ置いておけば、自分のところだけでなく、他市が被災した際に現地へ輸送して支援できる」と話す。トイレユニットは2000万円、給排水ユニットは1000万円。自治体だけでなく、高齢者施設での導入も勧めている。注文から完成まで1カ月程度という。
 同社は今後、被災地で需要が高い「シャワーユニット」も作る。同様に障害者や高齢者が利用できる車椅子対応型だ。柴田専務は「世の中の人のために、世の中に無いものを作って届けたい」と話している。
 問い合わせはタンバー(0532・32・5128)へ。
【山田一晶】

 9月1日は防災の日。豊橋市神野新田町のベンチャー「TAMBAH(タンバー)」(柴田由紀社長)が、災害時に使用する多目的トイレの製造販売に乗り出した。輸送用コンテナにトイレのキットを詰め込み、どこへでも運搬してそのまま設置できる。避難所で未だに解決されないトイレ問題に一石を投じるか。
 市販の20フィートコンテナを改造する。側面には補強の鉄材を使い、強度を高めてあるほか、内壁に断熱材を吹き付けてあるため室温変化が少ない。
 内部には、身障者が車椅子でも使えるトイレ、ベビーチェア、ベビーベッド、オストメイト(人工肛門)対応トイレなどが備え付けられた部屋が2室入っている。光触媒を使った抗ウイルス機能のある壁を採用した。さらにエアコンも設置され、熱中症対策も施されている。中に入るとトイレ展示場のような雰囲気だ。入り口に簡易スロープを取り付けることで、車椅子での出入りも自由になる。
 コンテナ上部に設置した太陽光パネルで給電しているため、外部電源は不要。うたい文句は「オフグリッド(独立電源)」。水道が不通になっている場所では、もう1基の給排水ユニットコンテナを併設すれば、タンクに3・6㌧の水を貯水できるうえ、合併処理浄化槽で汚水などを浄化できる。ライフラインが寸断した被災地でも活躍する完全な自給自足トイレなのだ。
 コンテナ輸送車で運べるように、太陽光パネルやダクトなど、出っ張りになる部分はコンテナ内に収容できるスペースを設けている。いざとなれば自衛隊ヘリで道路が寸断された被災地に運んでもらうことも可能だ。
 柴田正吾専務によると、着想を得たのは昨年9月頃。障害者や高齢者が避難場所で使えるトイレがないことに気づいたことからだった。体育館などの避難場所のトイレは断水が起きると悲惨な状況になる。工事現場などの簡易トイレは不衛生だし、臭気もある。また、体が不自由な人が使えない。
 そこで、感染症対策も施し、誰もが快適に使えるトイレユニットを、運びやすいコンテナに詰め込むシステムを考えた。名付けて「みんなのトイレ」。3月に法人化し、このほどモデルユニットが完成した。実用新案登録も済ませた。
 柴田専務と山本智之本部長は「自治体に1セットずつ置いておけば、自分のところだけでなく、他市が被災した際に現地へ輸送して支援できる」と話す。トイレユニットは2000万円、給排水ユニットは1000万円。自治体だけでなく、高齢者施設での導入も勧めている。注文から完成まで1カ月程度という。
 同社は今後、被災地で需要が高い「シャワーユニット」も作る。同様に障害者や高齢者が利用できる車椅子対応型だ。柴田専務は「世の中の人のために、世の中に無いものを作って届けたい」と話している。
 問い合わせはタンバー(0532・32・5128)へ。
【山田一晶】

「みんなのトイレ」を案内する柴田由紀社長
「みんなのトイレ」を案内する柴田由紀社長
上空から見たトイレと給排水のユニット。上部が太陽光パネル(提供)
上空から見たトイレと給排水のユニット。上部が太陽光パネル(提供)
多機能型のトイレ内部は清潔感にあふれている
多機能型のトイレ内部は清潔感にあふれている

カテゴリー:社会・経済

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