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磨いた腕は天下一品

彫刻技術の粋を集めた作品と高見さん=田原市で
彫刻技術の粋を集めた作品と高見さん=田原市で
自宅ではノミを手に彫像づくりの日々=豊橋市三ノ輪町2で
自宅ではノミを手に彫像づくりの日々=豊橋市三ノ輪町2で

元宮大工の高見さん、83歳で創作意欲衰えず

 欄間彫刻で培った技量を生かし、83歳の今も彫像を作り続ける元宮大工がいる。豊橋市三ノ輪町2の高見實さんは堂宮師(どうぐうし)として30年近く、伊勢神宮の欄間を手掛けた。引退から25年がたつが、愛好者からの製作依頼は絶えない。
 東京生まれで幼少時から画家志望だった。小学生の頃に、後の師匠に見出され、伊勢市の工務店へ修業に出た。「うちに来れば好きなだけ絵が描けるぞ」という誘い文句に乗った。
 堂宮師は神宮にある建物内にある欄間の製作や修復が主な仕事だ。「遷宮など繁忙期を除けば思ったより暇」という。そんな時に調達した原木で彫像を作ったり、絵筆を執ったりして感性を磨き続けた。
 各地の神社仏閣の修復工事に派遣されることも多かった。香川県の金刀比羅宮で1980年に手掛けた欄間は百間(約180㍍)の回遊式。宮大工の修業成果が詰まった集大成と振り返る。
 25年前の退職を機に親族の住む豊橋へ転居した。最近は近隣の愛好者からの求めで、欄間やついたて、彫像などの製作依頼が絶えない。田原市の喫茶店主もファンの1人。長澤孝治さんは「別室の展示スペースは高見さんの作品で固定する」という。
 金刀比羅宮の欄間を再現した作品は「シロムギ」と呼ばれる硬い原木を使い、漁船の波打つ帆の様子を「2枚彫り」で表した。硬い材質で、ノミに力を入れ過ぎるとひび割れてしまう。店主は技術の粋を集めた傑作だと力説する。
 自宅兼工房には作りかけの彫像が並ぶ。道具箱に詰まったノミは30種類近い。毎日のように砥石で刃先を調節する。彫り始めるまで1週間は原木を傍らに、眺めたり寝起きを供にして「会話」するという。
 「年輪や節など木によって異なり、ヘソを曲げて折れることも。もっと木と向き合い、緻密さを追求したい」と意欲を見せた。
【加藤広宣】

元宮大工の高見さん、83歳で創作意欲衰えず

 欄間彫刻で培った技量を生かし、83歳の今も彫像を作り続ける元宮大工がいる。豊橋市三ノ輪町2の高見實さんは堂宮師(どうぐうし)として30年近く、伊勢神宮の欄間を手掛けた。引退から25年がたつが、愛好者からの製作依頼は絶えない。
 東京生まれで幼少時から画家志望だった。小学生の頃に、後の師匠に見出され、伊勢市の工務店へ修業に出た。「うちに来れば好きなだけ絵が描けるぞ」という誘い文句に乗った。
 堂宮師は神宮にある建物内にある欄間の製作や修復が主な仕事だ。「遷宮など繁忙期を除けば思ったより暇」という。そんな時に調達した原木で彫像を作ったり、絵筆を執ったりして感性を磨き続けた。
 各地の神社仏閣の修復工事に派遣されることも多かった。香川県の金刀比羅宮で1980年に手掛けた欄間は百間(約180㍍)の回遊式。宮大工の修業成果が詰まった集大成と振り返る。
 25年前の退職を機に親族の住む豊橋へ転居した。最近は近隣の愛好者からの求めで、欄間やついたて、彫像などの製作依頼が絶えない。田原市の喫茶店主もファンの1人。長澤孝治さんは「別室の展示スペースは高見さんの作品で固定する」という。
 金刀比羅宮の欄間を再現した作品は「シロムギ」と呼ばれる硬い原木を使い、漁船の波打つ帆の様子を「2枚彫り」で表した。硬い材質で、ノミに力を入れ過ぎるとひび割れてしまう。店主は技術の粋を集めた傑作だと力説する。
 自宅兼工房には作りかけの彫像が並ぶ。道具箱に詰まったノミは30種類近い。毎日のように砥石で刃先を調節する。彫り始めるまで1週間は原木を傍らに、眺めたり寝起きを供にして「会話」するという。
 「年輪や節など木によって異なり、ヘソを曲げて折れることも。もっと木と向き合い、緻密さを追求したい」と意欲を見せた。
【加藤広宣】

彫刻技術の粋を集めた作品と高見さん=田原市で
彫刻技術の粋を集めた作品と高見さん=田原市で
自宅ではノミを手に彫像づくりの日々=豊橋市三ノ輪町2で
自宅ではノミを手に彫像づくりの日々=豊橋市三ノ輪町2で

カテゴリー:社会・経済

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