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外国人技能実習生 田原の現場から㊦

「渥美にほんご教室」の様子。中央奥が岡田さん、右奥が野村さん
「渥美にほんご教室」の様子。中央奥が岡田さん、右奥が野村さん

安心して働ける環境に

 国内では「実習生は技能習得のために来日する」というのは「建前」と捉えるしかない一面がある。実習生がいなければ事業が成り立たない産業の存在は全国的な問題となっている。
 東三河は、外国人の人口比率が高い。2019年10月時点で東三河の外国人労働者は1万9697人。うち技能実習生が5567人。
 中でも田原市では約1000人が働いている。19年6月時点の市の人口の2・6%、約1600人が外国人で、その約7割が実習生という状況なのだ。
 市内では農業のほか、一般土木、工場などで働く。国籍別では中国が約半数を占め、次いでフィリピン、ベトナム、インドネシア、カンボジアと続く。フィリピン、ベトナムの比率が上昇しているという。
 20年からはコロナの影響を受けて実習生の受け入れは一時停止しているが、それまでは右肩上がりだった。実習生は3~5年で帰国するため、実際に来日した実習生の総数は見た目より多い。
 では田原市で実習生の犯罪は多発しているのだろうか。田原署によると19年の総検挙数は52件でうち2件が外国人によるものだった。20年は52件中5件。同署担当者は「際立って増加した、という実感はない」と話す。
 「マーコ」の福田督さんは「日本に来た以上、日本語を覚え、日本の文化に興味を持ってもらえるとうれしい」と話し、市内の日本語教室に実習生が通うことを勧めている。
 インドネシア国籍のヘル・マウラナさんらがオンライン日本語教室を受講したのもそのためだ。社のモットーは「楽しく実習してもらいたい」だという。
 実習生の中からリーダーを決め、リーダーと綿密なやりとりをして問題をすくい上げたり、先輩実習生に「仕事の教え方」を教えて後輩実習生を指導させたりと、実習生たちが働きやすい現場づくりに努めている。
 「実習生がいないと回らない部分があるのは事実。日本人と同じ待遇で働いてもらっている。一緒に仕事をして、困った時には相談する。そうして実習生たちから『第2の家族』などと言ってもらえるのはうれしいしありがたい。うまくいくコツを聞かれたりするが、やはりコミュニケーションを取るのが一番大切」と福田さんは語った。
 「法改正以後、事業者に対する監査はずっと厳しくなった。実習生に怪しい勧誘が出回っていれば注意される」と話し、受け入れ体制は良い方向に向かっているという。
 犯罪と分かっていて手を染める人は多くはない。それは外国人実習生も同じだ。困っている人を食い物にしようと企む人は日本にもいる。実習生を守るために、受け入れ先の事業主が助けられるかどうかだ。
 外国人実習生から最も多く寄せられる悩みは言語の壁、コミュニケーションの問題という。日本人と実習生のコミュニケーション不足が不幸な事実を引き起こしているといえる。
【岸侑輝】

安心して働ける環境に

 国内では「実習生は技能習得のために来日する」というのは「建前」と捉えるしかない一面がある。実習生がいなければ事業が成り立たない産業の存在は全国的な問題となっている。
 東三河は、外国人の人口比率が高い。2019年10月時点で東三河の外国人労働者は1万9697人。うち技能実習生が5567人。
 中でも田原市では約1000人が働いている。19年6月時点の市の人口の2・6%、約1600人が外国人で、その約7割が実習生という状況なのだ。
 市内では農業のほか、一般土木、工場などで働く。国籍別では中国が約半数を占め、次いでフィリピン、ベトナム、インドネシア、カンボジアと続く。フィリピン、ベトナムの比率が上昇しているという。
 20年からはコロナの影響を受けて実習生の受け入れは一時停止しているが、それまでは右肩上がりだった。実習生は3~5年で帰国するため、実際に来日した実習生の総数は見た目より多い。
 では田原市で実習生の犯罪は多発しているのだろうか。田原署によると19年の総検挙数は52件でうち2件が外国人によるものだった。20年は52件中5件。同署担当者は「際立って増加した、という実感はない」と話す。
 「マーコ」の福田督さんは「日本に来た以上、日本語を覚え、日本の文化に興味を持ってもらえるとうれしい」と話し、市内の日本語教室に実習生が通うことを勧めている。
 インドネシア国籍のヘル・マウラナさんらがオンライン日本語教室を受講したのもそのためだ。社のモットーは「楽しく実習してもらいたい」だという。
 実習生の中からリーダーを決め、リーダーと綿密なやりとりをして問題をすくい上げたり、先輩実習生に「仕事の教え方」を教えて後輩実習生を指導させたりと、実習生たちが働きやすい現場づくりに努めている。
 「実習生がいないと回らない部分があるのは事実。日本人と同じ待遇で働いてもらっている。一緒に仕事をして、困った時には相談する。そうして実習生たちから『第2の家族』などと言ってもらえるのはうれしいしありがたい。うまくいくコツを聞かれたりするが、やはりコミュニケーションを取るのが一番大切」と福田さんは語った。
 「法改正以後、事業者に対する監査はずっと厳しくなった。実習生に怪しい勧誘が出回っていれば注意される」と話し、受け入れ体制は良い方向に向かっているという。
 犯罪と分かっていて手を染める人は多くはない。それは外国人実習生も同じだ。困っている人を食い物にしようと企む人は日本にもいる。実習生を守るために、受け入れ先の事業主が助けられるかどうかだ。
 外国人実習生から最も多く寄せられる悩みは言語の壁、コミュニケーションの問題という。日本人と実習生のコミュニケーション不足が不幸な事実を引き起こしているといえる。
【岸侑輝】

「渥美にほんご教室」の様子。中央奥が岡田さん、右奥が野村さん
「渥美にほんご教室」の様子。中央奥が岡田さん、右奥が野村さん

カテゴリー:社会・経済

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