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新城「猫の多頭飼育崩壊問題」

発覚直後の男性宅の様子=昨年9月11日㊧、ボランティアによる掃除=同22日
発覚直後の男性宅の様子=昨年9月11日㊧、ボランティアによる掃除=同22日
どうぶつ基金から届いたチケット=10月8日
どうぶつ基金から届いたチケット=10月8日
新城「猫の多頭飼育崩壊問題」

「どうぶつ基金」が経緯を公開

 新城市の民家で昨年9月に発覚した猫の多頭飼育崩壊問題で、公益財団法人「どうぶつ基金」はこのほど、経緯を公式サイト上で公開した。猫の総数は当初は50匹前後とみられていたが、最終的に84匹がいたこと、譲渡が思うように進んでいないことなどが報告されている。
 基金はサイト上で、多頭飼育崩壊の救済例を公開している。新城市の事例は3月1日付。
 それによると、不妊・去勢手術は昨年10月8日から11月21日にかけて、豊川市の病院で行われた。手術を受けたのは計69匹で雄が43匹、雌が26匹。一部はボランティア団体が済ませていたほか、小さかったため手術できなかった子猫もいた。また発覚後に4匹が死んだ。
 多頭飼育崩壊にいたった経過として、飼い主の男性が数年前に雌猫1匹頭を譲り受けたが、不妊手術をせずに出入り自由で飼育していたため2度ほど出産した▽一部の猫は手術や譲渡をしてきたが残った猫が繁殖して数が増えていった-などとあった。
 当事者の家族が昨年8月31日、市民団体「命にやさしいまちづくり ハーツ」に相談して発覚。地域猫活動を続けるボランティア団体「ニャンとかしまい豊川」が主体となり、新城市に「どうぶつ基金」を活用するよう申し立てた。
 記者も確認した一戸建ての男性宅は、ふん尿や抜け毛などがあちこちにこびりつき、強烈な異臭がしていた。また報告書には「餌が不足しており多くの猫が痩せている。病気やけがをしている猫もいるが、獣医師の治療は受けていない」とあった。
 手術後は、母猫などはボランティアが保護したものの、それ以外の猫はすべて当事者宅へ戻った。多くの人が家の掃除を手伝ったため、猫の生活環境は改善されている。男性はなついている数匹を除き、新たな猫を飼育しないと約束しているという。手術できなかった子猫3匹のうち1匹は2月時点で譲渡が決まったとしている。
 評価できる点として、「ニャン豊」などが、男性だけでは無理だった猫の運搬や清掃活動に尽力したことを挙げた。また、数が多かったため、どうぶつ基金の手術用チケットを使用できたことが大きな力となったとある。
 ただ、猫の譲渡が進んでいないため、関係機関と適切に情報共有して注視していくとしている。
 最後に基金のスタッフは「残念に感じた点は、全体を通して行政の存在が薄かったことです。現在、多頭飼育救済は行政からの申請のみ受け付けています。それは、多頭飼育崩壊は命の問題であると同時に、社会福祉の問題であり、地域の環境問題であり、行政が積極的に関わることが求められるからです」と結んでいる。
 詳細な活動報告は「ニャン豊」のブログ=QRコード=でも読める。
【山田一晶】

「どうぶつ基金」が経緯を公開

 新城市の民家で昨年9月に発覚した猫の多頭飼育崩壊問題で、公益財団法人「どうぶつ基金」はこのほど、経緯を公式サイト上で公開した。猫の総数は当初は50匹前後とみられていたが、最終的に84匹がいたこと、譲渡が思うように進んでいないことなどが報告されている。
 基金はサイト上で、多頭飼育崩壊の救済例を公開している。新城市の事例は3月1日付。
 それによると、不妊・去勢手術は昨年10月8日から11月21日にかけて、豊川市の病院で行われた。手術を受けたのは計69匹で雄が43匹、雌が26匹。一部はボランティア団体が済ませていたほか、小さかったため手術できなかった子猫もいた。また発覚後に4匹が死んだ。
 多頭飼育崩壊にいたった経過として、飼い主の男性が数年前に雌猫1匹頭を譲り受けたが、不妊手術をせずに出入り自由で飼育していたため2度ほど出産した▽一部の猫は手術や譲渡をしてきたが残った猫が繁殖して数が増えていった-などとあった。
 当事者の家族が昨年8月31日、市民団体「命にやさしいまちづくり ハーツ」に相談して発覚。地域猫活動を続けるボランティア団体「ニャンとかしまい豊川」が主体となり、新城市に「どうぶつ基金」を活用するよう申し立てた。
 記者も確認した一戸建ての男性宅は、ふん尿や抜け毛などがあちこちにこびりつき、強烈な異臭がしていた。また報告書には「餌が不足しており多くの猫が痩せている。病気やけがをしている猫もいるが、獣医師の治療は受けていない」とあった。
 手術後は、母猫などはボランティアが保護したものの、それ以外の猫はすべて当事者宅へ戻った。多くの人が家の掃除を手伝ったため、猫の生活環境は改善されている。男性はなついている数匹を除き、新たな猫を飼育しないと約束しているという。手術できなかった子猫3匹のうち1匹は2月時点で譲渡が決まったとしている。
 評価できる点として、「ニャン豊」などが、男性だけでは無理だった猫の運搬や清掃活動に尽力したことを挙げた。また、数が多かったため、どうぶつ基金の手術用チケットを使用できたことが大きな力となったとある。
 ただ、猫の譲渡が進んでいないため、関係機関と適切に情報共有して注視していくとしている。
 最後に基金のスタッフは「残念に感じた点は、全体を通して行政の存在が薄かったことです。現在、多頭飼育救済は行政からの申請のみ受け付けています。それは、多頭飼育崩壊は命の問題であると同時に、社会福祉の問題であり、地域の環境問題であり、行政が積極的に関わることが求められるからです」と結んでいる。
 詳細な活動報告は「ニャン豊」のブログ=QRコード=でも読める。
【山田一晶】

発覚直後の男性宅の様子=昨年9月11日㊧、ボランティアによる掃除=同22日
発覚直後の男性宅の様子=昨年9月11日㊧、ボランティアによる掃除=同22日
どうぶつ基金から届いたチケット=10月8日
どうぶつ基金から届いたチケット=10月8日
新城「猫の多頭飼育崩壊問題」

カテゴリー:社会・経済

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