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コロナ禍ので苦境の酒販業界

飲食店の酒提供自粛に加え、異業種との競争にさらされる酒販店=寿酒販で
飲食店の酒提供自粛に加え、異業種との競争にさらされる酒販店=寿酒販で

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う3度目の緊急事態宣言から10日を迎えた。今回は新たに飲食店で酒類提供の自粛要請も加わり、取引先の専業小売店への影響は避けられない。さらに一般向け需要もドラッグストアが強力なライバルとして立ちはだかる。酒販業界団体の役員は「コロナ終息後の再始動も心配。公助が不可欠」と陳情に走る。

 豊橋市花田町で寿酒販を営む大野建さん(71)は、豊橋小売酒販組合と県の組合連合会の代表を務める。豊橋の組合は豊川と田原を加えた3市で150事業者が加盟する。専業小売店や業態替えしたコンビニ店が中心だという。
 3度目の緊急事態宣言で、飲食店での酒提供の自粛要請が加わり、加盟業者の多くが連鎖的な影響を心配する。
 寿酒販でも居酒屋をはじめ、ホテルやゴルフ場のレストランへ酒類を納入している。自粛要請の内容については「荒療治だが、それだけで状況が改善されると思えない」とし、「今はワクチン接種の進展が唯一の望み」と話す。
 県連合会は18日、県議会や国の出先機関で陳情し、飲食店に準じた手厚い支援を求めた。
 国税庁の「酒類小売業者の概況」によると、名古屋国税局管内の2018年の小売数量は約80万㌔㍑で、09年と比べ約8%減った。業態別で一般酒販店が半減、安さを売り物にした量販店も落ち込んでいる。
 一方、強力なライバルとなったのがドラッグストアだ。18年の管内実績は9万5000㌔㍑で09年比で倍増。薬や日用品のほか、食品などもそろい、スーパーも脅かす存在になりつつある。
 専業酒販店は主力商品のビールがこの10年で半減。発泡酒も3分の1まで減った。一方、ドラッグストアのビールは倍増した。県内で出店攻勢をかける事業者もあり、需要を奪われた格好だ。
 こうした状況を踏まえて県は18日、農漁業を含む飲食取引業者に最大40万円の支援金を支給すると発表した。国も今年4~6月の売上減少に応じた支援制度を設ける。
 大野さんは「多くの企業で借入金が膨らみ、返済が始まるものも出た。終息後の再始動には国や自治体の支援が不可欠。こうした点も考慮してほしい」と願う。
【加藤広宣】 

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う3度目の緊急事態宣言から10日を迎えた。今回は新たに飲食店で酒類提供の自粛要請も加わり、取引先の専業小売店への影響は避けられない。さらに一般向け需要もドラッグストアが強力なライバルとして立ちはだかる。酒販業界団体の役員は「コロナ終息後の再始動も心配。公助が不可欠」と陳情に走る。

 豊橋市花田町で寿酒販を営む大野建さん(71)は、豊橋小売酒販組合と県の組合連合会の代表を務める。豊橋の組合は豊川と田原を加えた3市で150事業者が加盟する。専業小売店や業態替えしたコンビニ店が中心だという。
 3度目の緊急事態宣言で、飲食店での酒提供の自粛要請が加わり、加盟業者の多くが連鎖的な影響を心配する。
 寿酒販でも居酒屋をはじめ、ホテルやゴルフ場のレストランへ酒類を納入している。自粛要請の内容については「荒療治だが、それだけで状況が改善されると思えない」とし、「今はワクチン接種の進展が唯一の望み」と話す。
 県連合会は18日、県議会や国の出先機関で陳情し、飲食店に準じた手厚い支援を求めた。
 国税庁の「酒類小売業者の概況」によると、名古屋国税局管内の2018年の小売数量は約80万㌔㍑で、09年と比べ約8%減った。業態別で一般酒販店が半減、安さを売り物にした量販店も落ち込んでいる。
 一方、強力なライバルとなったのがドラッグストアだ。18年の管内実績は9万5000㌔㍑で09年比で倍増。薬や日用品のほか、食品などもそろい、スーパーも脅かす存在になりつつある。
 専業酒販店は主力商品のビールがこの10年で半減。発泡酒も3分の1まで減った。一方、ドラッグストアのビールは倍増した。県内で出店攻勢をかける事業者もあり、需要を奪われた格好だ。
 こうした状況を踏まえて県は18日、農漁業を含む飲食取引業者に最大40万円の支援金を支給すると発表した。国も今年4~6月の売上減少に応じた支援制度を設ける。
 大野さんは「多くの企業で借入金が膨らみ、返済が始まるものも出た。終息後の再始動には国や自治体の支援が不可欠。こうした点も考慮してほしい」と願う。
【加藤広宣】 

飲食店の酒提供自粛に加え、異業種との競争にさらされる酒販店=寿酒販で
飲食店の酒提供自粛に加え、異業種との競争にさらされる酒販店=寿酒販で

カテゴリー:社会・経済

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