地域猫のためCF協力を

　東三河で地域猫活動を続ける市民団体「命にやさしいまちづくり　ハーツ」による恒例のクラウドファンディング（ＣＦ）が６日、始まった。今年はＣＦサイトの運営方針が変更になり、60日間の短期決戦。最初の目標を１５０万円に設定し、世話をしている５６３匹の命を守るための浄財を募る。
　ハーツが飼い主のいない猫（野良猫）を捕獲し、不妊・去勢手術を始めて19年になる。現在「シェルター」と呼ばれる保護施設に住む猫は１３１匹。メンバーが自宅で世話している猫が２７４匹、サポーターが預かっている子猫が38匹。さらに、手術をして元の場所に戻し、餌を与えている猫が１２０匹いる。
　ＣＦで集めた浄財は、第２シェルターの運営費の一部に充てる。ハーツの古橋幸子代表によると、来年度は医療費が５００万円、フードや砂代で３００万円、家賃36万円などの計９１８万円を見込む。ＣＦの最終目標は５００万円で、医療費に充当する。病気がちの猫もおり、通院、入院、手術を受ける猫もいる。公的支援はないため、メンバーが資金を持ち寄っている。
　今回のＣＦのサイト＝ＱＲコード＝には、猫の世話をするスタッフの動画も載せた。掃除、水の入れ替え、点滴や点眼、尿が出ない猫の世話など、奮闘ぶりが伝わる。ハーツに寄せられる相談は年間８００件。命に関わる緊急事態にメールでは間に合わないため、古橋代表は携帯電話の番号を公開し、24時間対応している。
　今年は岡崎市でブリーダーによる猫の多頭飼育崩壊が発覚した。国内最大例となる３４５匹の猫が見つかり、ハーツも38匹の保護を引き受けた。また昨年よりは減ったが、今も80匹近い猫が真水もない吹きさらしの厳しい環境で、ハーツから餌や水をもらいながら生き延びている。
　野良猫を捕まえ、手術をし、再び放して地域ぐるみで餌やトイレの世話をする地域猫活動は国も推奨しているがなかなか理解が広まらない。「捨て猫、のら猫、虐待、殺処分ゼロ」の実現はまだ遠い。
　ＣＦは２０１６年から開始し、今回で６回目。昨年は４００万円を最終目標に設定し、90日で５４２万円余を集めた。寄付を募るだけでなく、ＬＩＮＥの「ハーツシェルターの保護猫スタンプ」をメンバーが作って販売中。ＬＩＮＥストアで買え、売上はハーツの収入になる。
　ＣＦの期限は来年２月３日まで。
【山田一晶】