第二の人生は二胡奏者 豊橋在住のNancy+さん

　豊橋市在住の二胡奏者、Ｎａｎｃｙ＋（なんしぃ）さんは、地元を拠点に関東から海外まで演奏活動をしながら、二胡楽団の育成に力を注いでいる。さらに浜松市三ヶ日町に音楽ホールの建設を目指す。新型コロナウイルス禍の中、新卒で入社し勤め上げたタイ国際航空を退職し、二胡の道で第二の人生を歩む。
　二胡との出合いは２００４年。たまたまテレビで見たアジア音楽祭での独奏だった。この中国の弦楽器は「小さなボディーなのに哀愁のある素晴らしい音色が奏でられ、表現力豊か」と感じた。10年前、国際的二胡奏者ウェイウェイ・ウー氏に弟子入りし、東京の教室まで通い続け認定講師の資格を取得。２０１９年には「第21回万里の長城杯国際音楽コンクール」の民族部門一般ソロで第３位を獲得し、昨年は「第22回大阪国際音楽コンクール」の民族楽器部門及びデュオ部門の両部門で見事に入選した。生粋の日本人だが世界を目指し、活動名はアルファベットにした。
　会社員時代は名古屋支店に勤務。広報マーケティングの管理職になり、使命を感じながら運航便拡大の発展に貢献してきた。会社員時代に大切にしていた「おもてなしの心」と音楽は通じ合うものとして、第二の人生は二胡でと決めていた。退職の時期がコロナ禍と重なったのは偶然だが、「天の導きのような気もする」と話す。
　音楽家としてはコンクール入賞ほか、19年にニューヨーク・マンハッタンの老舗ピアノレストランバーでの演奏、20年に初のＣＤアルバムで「スタジオジブリ」の映画音楽収録の「ザ・二胡ジブリ/ココロノオト」を発売した。今年４月には「アクトシティ浜松」でギターのまつはしたかしさん、ピアノの宗行晶子さんと一緒に全曲ジブリのコンサートを開く。
　普及にも尽力。現在、Ｎａｎｃｙ＋さんを慕って30人近くが楽団員となっている。個別指導では熱が入り、時間オーバーが相次ぐ。この熱意で生徒たちの実力がみるみる向上し、ユニット「青い花二胡楽団」を結成。昨年12月には豊橋市民文化会館ホールでコンサートを開いた。
　Ｎａｎｃｙ＋さんは「航空会社で培った国際力を生かして、世界へ二胡の魅力を伝えられる奏者になるよう努力し、楽団員を育て世界との文化交流をしたい。三ヶ日の浜名湖音楽ホールもできるだけ早く作りたい」と意気込む。
　アクトシティでのコンサートは４月９日午後１時半から。前売り１５００円（当日２０００円）。コンサートや二胡楽団の問い合わせは、「なんしぃ後援会事務局」（０８０・３６８９・５９９９）へ。活動はインスタグラム＝ＱＲコード＝でも紹介している。
【竹下貴信】