豊橋の書店など作品紹介で石原慎太郞氏を追悼

　「太陽の季節」「狂った果実」などの著書で知られる作家で政治家の石原慎太郞氏が１日、89歳で死去した。豊橋市内の書店や図書館では追悼コーナーを設置し、遺作の数々を紹介している。
　市中央図書館は２日から１階特集コーナーに追悼スペースを設け、館蔵本の中から選んだ25冊を並べた。デビュー作で芥川賞受賞作「太陽の季節」などはすぐ借りられた。８日現在、コーナーには「石原慎太郎の文学」「生還」「三島由紀夫　石原慎太郎　全対話」など９冊が残っている。
　８日からは石原慎太郎コーナーの隣に「苦役列車」などで知られ５日に54歳で死去した芥川賞作家、西村賢太氏の追悼棚も設置した。こちらは「無銭横町」「一私小説書きの日常」各章など、館内図書から選んだ16冊を並べている。いずれも24日まで。
　一方、呉服町の「本の豊川堂」本店では訃報の後、多くの人が本を買い求めに来たほか、在庫問い合わせの電話も入ったという。こちらは昨年11月に死去した瀬戸内寂聴氏のコーナーとともに入り口すぐの棚に追悼コーナーを設けた。
　昨年よく売れたという「あるヤクザの生涯」をはじめ、数冊が並ぶ。代表作だけでなく、ファンが持ってない本を探しに来るパターンも。すぐに発注をかけ、８日には「弟」「天才」「法華経を生きる」などの本が届いたが、この日発売の新刊「老いてこそ生き甲斐」は朝のうちに売れてしまったという。林毅店長は「寂聴さんほどではないが、問い合わせも多い。追加注文し、順次並べていく」と話していた。
【田中博子】