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豊橋公園は防災拠点にも

災害活動の拠点として期待する人も多い豊橋公園
災害活動の拠点として期待する人も多い豊橋公園

新アリーナ建設本格化へ

 豊橋市が前市長時代から検討を重ねてきた「多目的屋内施設」(新アリーナ)の建設候補地は、豊橋公園に決まった。一度は事業者選定までこぎつけながら、協議対象者との条件交渉で中断。市長選でも争点の一つになるなど、市民の間でも賛否が分かれていた。
 新アリーナは、市総合体育館が老朽化していることと、利用日程などの過密対策として2016年に整備計画が持ち上がった。プロバスケットボールBリーグ発足と同じ年だ。
 一時は条件交渉で選んだ事業者が協議を断念したり、市長交代で白紙に戻して再検証を試みたりと曲折を経た。
 自民党市議団の伊藤篤哉団長は、災害対策を理由に、以前から中心街に近い豊橋公園での建設を支持してきた。市総合体育館は災害支援物資集積の拠点にもなっている。伊藤氏は「臨海部に近く、大地震で中心街へつながる道は液状化してしまうだろう。一刻を争うときに配送が滞ってしまう」と決定を支持する。
 また豊橋公園周辺の八町校区では住民レベルで賛否が分かれていたが、防災拠点機能の集約化なども期待されている。
 共産党市議団の斎藤啓団長は、過密化と老朽化が進む総合体育館の再整備については理解を示した。一方で、民間資本などを生かすPFI方式による運営には疑問を投げかけた。「民間企業である以上は利益を上げなければならない。そのための最適地として豊橋公園を選んだという点には納得いかない」と指摘。効率化や行き過ぎた利益至上主義で、公共性の高いサービスを保てるかと懸念を示した。さらに、川沿いの立地から、近隣の交通渋滞が抑えられるのかと疑念を示した。「規模が大きくなるほど住環境が脅かされる。もっと住民の意見を聞くべきだ」と述べた。
 一度は計画が頓挫した際にも「豊橋新アリーナを求める会」で粘り強く必要を訴えたのは会社経営者の川西裕康さん。豊橋発展会連盟会長という商店街の代表としても、豊橋公園への新アリーナ整備を歓迎する。川西さんは経済活性化の起爆剤としてだけでなく、防災拠点の機能からも豊橋公園での整備を主張してきた。
 「誰でも知っている場所なので、広域的な防災拠点にもなる」と主張したという。2年前には市議会に対し、会が集めた2万8000筆余の署名を請願として出した。
【安藤聡、加藤広宣】

解説

 豊橋市が整備を検討してきた「多目的屋内施設」(新アリーナ)の建設候補地は豊橋公園に決まった。新アリーナ問題は豊橋公園での建設などを巡って賛否が分かれ、市長選でも争点の一つに挙がった。結果的に当初案に落ち着いたが、最初の構想から約6年がたった。
 前市長の佐原光一氏が豊橋公園での新アリーナ整備構想を掲げたのは2016年。男子バスケットボールのトップリーグ統一で「Bリーグ」が誕生した年だ。それ以降、老朽化が進む市総合体育館に替わる新たなホームアリーナの建設を巡って議論は百出した。
 新アリーナはフェニックスの本拠としての活用をはじめ、各種スポーツやコンサートなどの利用で経済活性化の起爆剤としても期待される。さらに、防災拠点の機能強化で安心安全につなげたい考えだ。人口流出に悩む地方都市が人を呼び込む新たな手段とできるかに注目が集まる。
 フェニックスが所属するBリーグは昨年度、新リーグ構想を掲げた。最上位の「B1」参入には5000席以上のホームアリーナを備え、平均観客数4000人以上などが課せられる。フェニックスホーム試合の観客数は最多で約2200人。ファン拡大につなげるチーム力の強化と新アリーナを一体で考えている。
 設計や事業者選定などに今後2年かかる。整備計画のめどを示す参入審査までの残り時間も約2年だ。これ以上時を遊ばせられないという。
 計画の一時停滞から約3年。この間の見直しで1年半を費やした。熟慮が良い結果をもたらすのか、単なる遠回りで終わるのかは、浅井市政のラストスパートにかかっている。
【加藤広宣】

新アリーナ建設本格化へ

 豊橋市が前市長時代から検討を重ねてきた「多目的屋内施設」(新アリーナ)の建設候補地は、豊橋公園に決まった。一度は事業者選定までこぎつけながら、協議対象者との条件交渉で中断。市長選でも争点の一つになるなど、市民の間でも賛否が分かれていた。
 新アリーナは、市総合体育館が老朽化していることと、利用日程などの過密対策として2016年に整備計画が持ち上がった。プロバスケットボールBリーグ発足と同じ年だ。
 一時は条件交渉で選んだ事業者が協議を断念したり、市長交代で白紙に戻して再検証を試みたりと曲折を経た。
 自民党市議団の伊藤篤哉団長は、災害対策を理由に、以前から中心街に近い豊橋公園での建設を支持してきた。市総合体育館は災害支援物資集積の拠点にもなっている。伊藤氏は「臨海部に近く、大地震で中心街へつながる道は液状化してしまうだろう。一刻を争うときに配送が滞ってしまう」と決定を支持する。
 また豊橋公園周辺の八町校区では住民レベルで賛否が分かれていたが、防災拠点機能の集約化なども期待されている。
 共産党市議団の斎藤啓団長は、過密化と老朽化が進む総合体育館の再整備については理解を示した。一方で、民間資本などを生かすPFI方式による運営には疑問を投げかけた。「民間企業である以上は利益を上げなければならない。そのための最適地として豊橋公園を選んだという点には納得いかない」と指摘。効率化や行き過ぎた利益至上主義で、公共性の高いサービスを保てるかと懸念を示した。さらに、川沿いの立地から、近隣の交通渋滞が抑えられるのかと疑念を示した。「規模が大きくなるほど住環境が脅かされる。もっと住民の意見を聞くべきだ」と述べた。
 一度は計画が頓挫した際にも「豊橋新アリーナを求める会」で粘り強く必要を訴えたのは会社経営者の川西裕康さん。豊橋発展会連盟会長という商店街の代表としても、豊橋公園への新アリーナ整備を歓迎する。川西さんは経済活性化の起爆剤としてだけでなく、防災拠点の機能からも豊橋公園での整備を主張してきた。
 「誰でも知っている場所なので、広域的な防災拠点にもなる」と主張したという。2年前には市議会に対し、会が集めた2万8000筆余の署名を請願として出した。
【安藤聡、加藤広宣】

解説

 豊橋市が整備を検討してきた「多目的屋内施設」(新アリーナ)の建設候補地は豊橋公園に決まった。新アリーナ問題は豊橋公園での建設などを巡って賛否が分かれ、市長選でも争点の一つに挙がった。結果的に当初案に落ち着いたが、最初の構想から約6年がたった。
 前市長の佐原光一氏が豊橋公園での新アリーナ整備構想を掲げたのは2016年。男子バスケットボールのトップリーグ統一で「Bリーグ」が誕生した年だ。それ以降、老朽化が進む市総合体育館に替わる新たなホームアリーナの建設を巡って議論は百出した。
 新アリーナはフェニックスの本拠としての活用をはじめ、各種スポーツやコンサートなどの利用で経済活性化の起爆剤としても期待される。さらに、防災拠点の機能強化で安心安全につなげたい考えだ。人口流出に悩む地方都市が人を呼び込む新たな手段とできるかに注目が集まる。
 フェニックスが所属するBリーグは昨年度、新リーグ構想を掲げた。最上位の「B1」参入には5000席以上のホームアリーナを備え、平均観客数4000人以上などが課せられる。フェニックスホーム試合の観客数は最多で約2200人。ファン拡大につなげるチーム力の強化と新アリーナを一体で考えている。
 設計や事業者選定などに今後2年かかる。整備計画のめどを示す参入審査までの残り時間も約2年だ。これ以上時を遊ばせられないという。
 計画の一時停滞から約3年。この間の見直しで1年半を費やした。熟慮が良い結果をもたらすのか、単なる遠回りで終わるのかは、浅井市政のラストスパートにかかっている。
【加藤広宣】

災害活動の拠点として期待する人も多い豊橋公園
災害活動の拠点として期待する人も多い豊橋公園

カテゴリー:社会・経済

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