「ごみ屋敷」の行政代執行開始

　蒲郡市形原町の民家が「ごみ屋敷」＝ことば＝状態となり、住人の男性が撤去に応じなかったことから、市は18日、生活ごみなどを撤去する行政代執行の手続きに入った。21日には完了の見通し。市が２０１８年に施行した「住居等の不良な生活環境を解消するための条例」（ごみ屋敷条例）に基づく初めての代執行。
　今回の「ごみ屋敷」について、市は約20年前から把握していたという。周辺住民から「はみ出したごみが通行の邪魔になる」「雨が降ると異臭がする」などの声が寄せられていた。２０１９年11月、条例に従って指導があり、解消しなかったため今年３月９日に、同22日を期限とするごみの撤去命令が出た。しかし状態が改善されなかったため、代執行となった。住人の男性は納得しており、妨害などはないという。市は撤去費用として４００万円の予算を組んでおり、実費を男性に請求する。
　家の敷地には服やタオル、雑誌、ビニール袋、焼酎の４㍑ボトルなどがうず高く積み重なっていた。道路にも一部がはみ出していた。ごみが詰め込まれた小屋は壁が膨れてゆがんでいた。
　この日は、撤去を請け負った市内の廃棄物収集運搬業者のスタッフ13人が、ごみを分別してかごに入れ、敷地の外に運び出した。周辺住民は「状態は知っていたが近所付き合いはなかった。ほっとしている」などと話していた。男性の家からは約30年前からごみが表に出てきて、年々増えていったという。
　市内には現在４件のごみ屋敷があり、担当課が対応している。
　「ごみ屋敷条例」は、東三河では蒲郡市が最初に施行した。豊橋市が20年４月に施行している。県内では名古屋市、豊田市、岡崎市などにある。
【岸侑輝】

ごみ屋敷
　生活ごみなどを家屋や敷地内にためこみ、管理されていない状態。近くの道路や他人の敷地内までごみが入り込み、通行の妨げになるだけでなく害虫や悪臭発生の原因、放火など犯罪の温床となることもある。法的には家主に所有権があり、「ごみではない」などと主張した場合、第三者が強制的に片付けることは難しい。近年、社会問題化しており、自治体による条例制定が進んでいる。